国内

山口組元顧問弁護士 「顧問料は月20万円でした」

元弁護士の山之内幸夫氏

 山口組の守護神──そう呼ばれた男が、分裂騒動の最中、静かにその役を降りた。山之内幸夫元弁護士、70歳。山口組の顧問弁護士として名を馳せ、極道の世界の内幕を描いたベストセラー『悲しきヒットマン』の著者としても知られる。なぜ彼は、正義とは対極の男たちの弁護を引き受けたのか。

 * * *
 山口組の顧問弁護料は月20万円でした。もっともらっていたのではと勘ぐる人もいましたが、そんなもんです。高くも安くもない。僕が引き受けたのは、お金のためではありませんから。

 弁護士になったばかりの頃、たまたま暴力団関係の仕事を受けていたんです。その縁で、1975年に起きた大阪戦争(三代目山口組と二代目松田組の抗争)のとき、宅見(勝=のちの五代目山口組若頭)さんの弁護を引き受けた。

 そこで信頼され、山口組の顧問弁護士になって欲しいと頼まれたんです。最初は迷いました。弁護士の評判に傷がつくのではと心配しましたし、家族も嫌がっていましたから。でも、最後は好奇心が勝ちましたね。ヤクザの世界を知りたい、という。

 憧れとは、違います。彼らがいいことをしているとは思ってません。ただ、落ちこぼれた人間が這いずり回っている姿に同情してしまうんでしょうね。大阪・黒門市場の小さな魚屋で育ったせいか、体質的に権力側につくのは合ってない。はぐれている少数派に味方したくなるんです。

●やまのうち・ゆきお/1946年、大阪府出身。早稲田大学法学部卒。1972年司法試験合格。1984年頃より山口組顧問弁護士に。1988年、『悲しきヒットマン』を上梓しベストセラーに(のち映画化)。2014年末、建造物破損の教唆の罪で起訴され、2015年末、有罪判決確定。弁護士資格を失う。

※SAPIO2016年4月号

関連記事

トピックス

中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン