ライフ

画期的な新型入れ歯がいつまでも保険適用にならぬ理由

金具のないノンクラスプ式の入れ歯

 虫歯や歯周病が原因で歯を失った時、患者の選択肢の一つが部分入れ歯だ。金具のついた入れ歯の場合、金具が触れる部分などに虫歯のリスクが生じることがあるが、そうした不都合を減らせる「新しい入れ歯」もあるのだ。この入れ歯は「ノンクラスプ式」と呼ばれるものだ。

 従来の部分入れ歯についている金具がノンクラスプ式にはない。その代わりに「フィンガー」と呼ばれる、歯肉にあたる部分が両隣の歯の出っ張りに引っかかり固定される。

 一般的な入れ歯は土台部分が硬くて分厚いが、ノンクラスプ式は非常に柔らかくて薄い。入れ歯を使う人が一番嫌がる『口中の違和感』が小さいとされる。

 日本でも2008年から供給されているが、普及が進まないのは、一般的な入れ歯との「費用負担」の違いがある。

 金具のついた入れ歯は保険適用のため、1本あたり数千円の負担で済む一方、ノンクラスプ式の入れ歯は自由診療のため高額になる。自らもノンクラスプ式の「ウェルデンツ」という製品を使用している歯科医の大神京子院長のウエストデンタルクリニックの料金表では、費用は「10万円~」(ウェルデンツの場合)だ。抜いた歯の両隣の健康な歯を削る必要がある「ブリッジ」が保険適用で自己負担1万円程度であることと比べても、費用がこの「新しい入れ歯」の普及のネックになっていることがよくわかる。

 歯科診療報酬早見表の「入れ歯(有床義歯)」の項目を見ると、入れ歯を固定する役割を持つ「鉤部」の素材については14K(14金)、金パラ(金銀パラジウム)、ニッケル、コバルトなど金属しか入っていない。つまり、日本の保険診療では「入れ歯は金具で止めるものでなければならない」と決まっているのだ。ウェルデンツジャパン山田邦博社長はこういう。

「金属を使わない当社の入れ歯に金具の鉤をつければ、そのまま保険適用にできます。ただ、当然ながらそんなことをしても治療には何の意味もありません」

関連キーワード

トピックス

事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
チームを引っ張るドミニカ人留学生のエミールとユニオール(筆者撮影、以下同)
春の栃木大会「幸福の科学学園」がベスト8入り 元中日監督・森繁和氏の計らいで来日したドミニカ出身部員は「もともとクリスチャンだが幸福の科学のことも学んでいる」と語る
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン