国内

池上彰氏「次の選挙で首相は北方領土問題を争点にする」

次の選挙は北方領土問題が争点と語る池上氏

 すっかり選挙投開票日の定番番組となった、池上彰氏が司会を務める『TXN選挙SP 池上彰の参院選ライブ』(テレビ東京系)。ネットで“池上無双”といわれる、並み居る政治家たちに次々と鋭い質問をぶつけ、本音を引き出す鮮やかさは今回の参院選後の特番でも健在。与野党のトップへの鋭い質問が炸裂した。なかでも、圧勝となった自民党総裁の安倍晋三首相には、鋭い質問をぶつけた。池上氏が、選挙を振り返るとともに、安倍首相の今後を分析する。

 * * *
 なぜ憲法改正を争点としなかったのか。その問いに対する安倍首相の答えは「どの条文をどのように変えていくかについては議論が収斂をしていない」というものでした。

 年頭会見との矛盾については「憲法を改正するという考え方のかたが当選しないと、そもそも議論は進んでいかないわけであります」。つまり、どこをどう変えるかは、とりあえず改憲賛成の人を当選させてから考える、というわけです。

 でもそれはおかしいですよね。これまで安倍首相は、戦争放棄、戦力の不保持などを明記した憲法9条、そして、憲法改正の手続きを記した96条の改正について具体的に言っていました。選挙でこそ、ここをこう変えますと訴えるべきじゃないですか。今回はなぜ、まったく触れなかったのかを尋ねたところ、こういう答えが返ってきました。

「96条を変える、あるいは9条を変える、それだけではなく、前文からすべてそれを変えたいと思っています。ただ、政治というのは現実どうなっていくか、結果を残していかないといけないわけで、ただ自分の要望を示すのでは、政治ではないんですね」

 ここで私はあれ? と思いました。「結果を残していきたい」という言葉が気になったのです。

 もともとは9条を変えるために総理大臣になったような人なのに、9条を変えるのは難しそうだと。そこで、9条にこだわらずに憲法を変えたという実績を作ること、つまり、思想を追い求めることよりも、「お試し改憲」をして歴史に名を残すことを選んだように感じられたのです。

 じゃあ何を目指しているかと言えば首相在任期間ベスト3じゃないか。2年後の2018年秋、安倍首相は自民党総裁の任期満了を迎えます。もっと長く首相を務めたければ、それまでに衆議院を解散して選挙で圧勝し、任期延長を目指すことになるでしょう。

 その選挙で勝てば、首相在任期間が佐藤栄作氏、吉田茂氏に続き、歴代ベスト3に入ることも現実味を帯びてきます。

 では、その選挙で何を問うのか。それは北方領土問題ではないかと私は見ています。安倍首相はこの秋、ウラジオストックを訪れて、ロシアのプーチン大統領と会談を行います。その後、地元・山口にプーチン大統領を招待するといわれています。会談のテーマは、北方領土問題。日本側は4島の即時返還を求めていますが「2島返還、2島については協議をする」ことで合意し、日露平和条約を締結する。そして長年、膠着状態が続いていたこの問題の進展を国民に問うのではないかと思うのです。今回の選挙でアベノミクスの成果ばかりをアピールしていたのと同じ手法です。

※女性セブン2016年7月28日号

関連記事

トピックス

直面する新たな課題に宮内庁はどう対応するのか(写真/共同通信社)
《応募条件に「愛子さまが好きな方」》秋篠宮一家を批判する「皇室動画編集バイト」が求人サイトに多数掲載 直面する新しい課題に、宮内庁に求められる早急な対応
週刊ポスト
ポストシーズンに臨んでいる大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、ポストシーズンで自宅の“警戒レベル”が上昇中 有名選手の留守宅が狙われる強盗事件が続出 遠征時には警備員を増員、パトカーが出動するなど地元警察と連携 
女性セブン
「週刊文春」の報道により小泉進次郎(時事通信フォト)
《小泉進次郎にステマ疑惑、勝手に離党騒動…》「出馬を取りやめたほうがいい」永田町から噴出する“進次郎おろし”と、小泉陣営の“ズレた問題意識”「そもそも緩い党員制度に問題ある」
NEWSポストセブン
懲役5年が言い渡されたハッシー
《人気棋士ハッシーに懲役5年判決》何度も「殺してやる」と呟き…元妻が証言した“クワで襲われた一部始終”「今も殺される夢を見る」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(左)、田淵幸一氏の「黄金バッテリー」対談
【江夏豊×田淵幸一「黄金バッテリー」対談】独走Vの藤川阪神について語り合う「1985年の日本一との違い」「短期決戦の戦い方」
週刊ポスト
浅香光代さんの稽古場に異変が…
《浅香光代さんの浅草豪邸から内縁夫(91)が姿を消して…》“ミッチー・サッチー騒動”発端となった稽古場が「オフィスルーム」に様変わりしていた
NEWSポストセブン
群馬県前橋市の小川晶市長(42)が部下とラブホテルに訪れていることがわかった(左/共同通信)
【前橋市長のモテすぎ素顔】「ドデカいタケノコもって笑顔ふりまく市長なんて他にいない」「彼女を誰が車で送るかで小競り合い」高齢者まで“メロメロ”にする小川市長の“魅力伝説”
NEWSポストセブン
関係者が語る真美子さんの「意外なドラテク」(getty image/共同通信)
《ポルシェを慣れた手つきで…》真美子さんが大谷翔平を隣に乗せて帰宅、「奥さんが運転というのは珍しい」関係者が語った“意外なドライビングテクニック”
NEWSポストセブン
部下の既婚男性と複数回にわたってラブホテルを訪れていた小川晶市長(写真/共同通信社)
《部下とラブホ通い》前橋市・小川晶市長、県議時代は“前橋の長澤まさみ”と呼ばれ人気 結婚にはまったく興味がなくても「親密なパートナーは常にいる」という素顔 
女性セブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人の時効が消滅》「死ぬ間際まで與一を心配していました」重要指名手配犯・八田與一容疑者の“最大の味方”が逝去 祖母があらためて訴えた“事件の酌量”
NEWSポストセブン
男性部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長
「青空ジップラインからのラブホ」「ラブホからの灯籠流し」前橋・42歳女性市長、公務のスキマにラブホ利用の“過密スケジュール”
NEWSポストセブン
「ゼロ日」で59歳の男性と再婚したという坂口
《お相手は59歳会社員》坂口杏里、再婚は「ゼロ日」で…「ガルバの客として来てくれた」「専業主婦になりました」本人が語った「子供が欲しい」の真意
NEWSポストセブン