国内

沖縄の「土人」発言 歴史的にどう解釈すべきか

評論家の呉智英氏

 しばらく前、沖縄で機動隊員が活動家たちを差別語で怒鳴りつけたとニュースになった。最近、ネットでもリアルでも「差別認定」が盛んだ。評論家の呉智英氏が、差別語と呼ばれる言葉について、どのように解釈すべきなのかを改めて考えた。

 * * *
 先月、沖縄の米軍ヘリパッド移設工事に反対する活動家たちを、警備の機動隊員が「土人」とか「支那人」とか呼んだとして議論が起きている。議論といっても、無知な者が無知な者を論難しているだけだから、何の深化もない。

「支那」問題については、私は全共闘の学生だった頃から、支那は「支那」だと言い続けてきた。世界共通語である「支那」が日本でだけ禁圧される差別性を批判してきたのだ。ここではごく短く今回の事件について一言しておこう。

 機動隊員は「支那人」を侮蔑的な意味で使ったらしいが、これがそもそも無知である。支那人を侮辱する言葉は別にある。そんなことさえ知らないのだ。どうせなら「ヤンキー」と罵ってやればよかった。ヤンキーはアメリカ人の俗称・蔑称であるのと同時に、不良青年や愚連隊の意味でも使われる。米軍施設反対運動の連中をヤンキーだなんて、面白いじゃないか。

 もう一つの「土人」についても、私は三十年以上前から何の問題もないと主張してきた。事実、当時普通に使われていた言葉である。

 研究社の『新簡約英和辞典』(1956年初版)は名辞書の誉高く、長期に亘って重版が続いた。版が切れた1980年代に入っても、古本屋で人気商品だった。この辞典でIndianを引くと「インド人」の他に「アメリカ土人」と出てくる。インディアンはアメリカ土着の人だからである。白人は渡来人なのだ。当然、奴隷として連れて来られた黒人は土人ではない。「土人」からはこれだけの意味を読み取ることができる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン