ふたつのドラマは、変人VS超常識人の対決といった構図だが、実はもうひとつの対決要素がある。それは「登場人物の名前対決」だ。いかにも当て字っぽい法門寺沙羅駆はシャーロック・ホームズ、和藤奏子は相棒のワトソンを思わせる。さらに第6話の犯人は千代能光一(成宮寛貴)で通称チョコ、被害者番田要(矢本悠馬)はバナナ。ふたりはチョコ&バナナというアートユニットを組んでいるという設定だった。
それに対して、『キャリア』の遠山金志郎は江戸時代に実在した名奉行・遠山金四郎と文字違い。思いっきりわかりやすい“平成の遠山の金さん”なのである。江戸の金四郎は、北町奉行所の奉行を勤め、庶民の味方として親しまれたことで知られるが、なんといっても有名なのは「背中に桜吹雪の彫り物があった」という通説だ。東京の北町署署長の玉木金志郎が「この桜に誓って…」というのは、この通説にちなんだ言葉だ。
第5話では、北町署にドラマ『暴れん坊刑事』で人気の俳優・小松平健介(新納慎也)が「1日署長」としてやってくる。裏で何人もの女性を泣かす小松平は、そのひとりに襲撃されて警察批判をするが、結局、他の相手に六股を暴露され、「夜も暴れん坊」などと報道されることになった。
日曜夜にどこまで続くのか、名前対決。当て字、パロディ、文字違い。やるならあっと驚くところまで突き詰めてほしい。夜露四苦。