詳細は近著『今こそ、韓国に謝ろう』に記しましたが、こうしたアプローチで韓国との関係を考えることは、見ようによっては「反日的」と捉えられてしまうかもしれません。
よく知られているように、日本は台湾を統治していた時代にも現地で教育を施し、鉄道を敷き、道路を作り、東洋一とも言われるダムも建設しました。台湾は今でも、当時の日本によるインフラ整備に感謝してくれています。台湾が親日的なのはそのためでしょう
。
日本は韓国に対しても同じことをしたのに、なぜ韓国人は感謝もせずに日本を批判するのか。それは、本誌・SAPIO6月号で対談したケント・ギルバートさんが語っていたとおり「儒教」の影響が大きいのだと思います。
韓国では、中国が世界の中心で、それに近い韓国は優れた国であり、中国からより遠い日本は「格下」と考えられています。「下」の日本が「上」の韓国のために学校を建てるなどして「貢ぐ」のは、上下関係を大事にする儒教の考え方では〝当たり前〟のことであるから、感謝するものではないのです。「鉄道を敷くなんて、頼んでもないんだけどな~」と思っているのではないでしょうか。
それでも私はここで、韓国の皆さんにきちんとお詫び申し上げます。そのことが日韓関係を新たな段階に進めることにつながると思うからです。
【PROFILE】1956年、大阪市生まれ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」などの番組構成を手がける。2006年、『永遠の0』で作家デビュー。近著に『今こそ、韓国に謝ろう』『幻庵』『カエルの楽園』などがある。
※SAPIO2017年8月号