◆北朝鮮レストランの男たち
さらに、報告書によると、2013年から2016年までの3年間で北朝鮮と取引をした中国企業は5233社にも上る。いくつかの企業は馬や孫の経営する企業同様、軍事目的にも転用可能な物資を北朝鮮に輸出したと報告書は断定している。
しかし、この3年間、習近平指導部は国連の対北制裁に賛成し、実行を約束している。それなのに、なぜ中国内の5000以上の中国企業が制裁破りに加担してきたのか。
筆者はその答えを見つけようと、丹東市中心部の「抗米援朝記念館」に寄ってみた。朝鮮戦争時代の資料1万9500点がいまも展示されており、金日成主席が毛沢東主席に支援を請い願う親書などが残されている。これらの貴重な「中朝の国家一級文化財」が展示されていれば、両国の「血と血で塗り固められた友誼」がまだ生きているはずだ。
ところが、記念館は2014年12月から2年半も「改装中」で、実質的な閉館状態だった。駐車場には雑草が生い茂り、現在の冷え切った中朝関係を如実に表しているようだ。
その後、筆者は丹東市内の北朝鮮レストランで遅い昼食をとった。そこは北朝鮮当局が経営しているといわれる直営ホテル内にあり、前出の馬も、ホテルの一室に会社の事務所を置いていたほど、北朝鮮とは関係が深い。