A氏は大学の教育学部に入学してから塾講師のアルバイトを開始。大学4年時に塾の中3クラスに所属していたのが8才年下の女子生徒だった。
大学を卒業後、埼玉県の公立中学に勤務することが決まっていたA氏は、2015年2月、塾講師として最後の授業を終えた後、女子生徒から「入試の合否結果を伝えたいので、連絡先を教えてほしい」と言われた。
この塾は、講師と生徒が連絡先を交換することを禁じていた。だがA氏は、「断ると傷つける」と思ってLINEのIDを教えた。
すぐに女子生徒から「会って話がしたい」と連絡があった。これを受け、同年3月に女子生徒とA氏は面会。彼女はA氏に高校合格を報告し、感謝の印としてプレゼントを手渡した。
さらに以前からA氏に好意を抱いていたことを打ち明けて「つきあってほしい」と告白したが、A氏はこれを断った。その後も彼女はA氏に思いを伝え続け、3度目の交際申し込みを受けた際、「この子の感情は一時的なものではなく、真剣なものだ」とA氏は感じ、交際を受け入れた。
時期を同じくしてA氏は中学校の数学教師となり、女子生徒は高校に入学した。裁判資料には、高校生となった女子生徒が、ますますA氏との交際にのめり込んでいく様子が描かれている。
社会人となったA氏は女子生徒に対し、「ご両親に交際を報告したい」と申し込んだが、彼女は「理解を得られないから」と断った。
A氏が女子生徒にアパートの合鍵を渡すと、彼女は1学期の間に7~8回アパートを訪れた。女子生徒が部屋で「帰りたくない」と泣くこともあったが、A氏は“お泊まり”はさせず、いつも18時には帰宅させて、帰り際にキスやハグを繰り返していた。
翌年5月の大型連休には東京スカイツリーに行き、「キス姿」のプリクラを撮影し、その後も映画や食事のデートを重ねた。7月に訪れた江の島とお台場では、女子生徒が背後からA氏に抱きつきながら、目の前に広がる風景を楽しんだ。周囲にその姿は、仲のいいカップルにしか見えなかったはずだ。
この夜、女子生徒は初めてA氏のアパートに宿泊した。彼女が「同じベッドで寝たい」と言ったので、ふたりは同じベッドに並んで眠った。翌日夕方までA氏のアパートで過ごし、キスや抱擁をしたが、それ以上の“行為”に及ぶことはなかったとされる。