芸能

吉岡里帆の『ケンカツ』、なぜ4%台まで落ち込んでしまうのか

注目の役者が揃ったが(番組公式HPより)

 ヒットの要素が揃っていても数字に結びつかないこともあるからドラマ作りは難しい。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
『健康で文化的な最低限度の生活』(火曜日午後10時 フジテレビ系)が話題を集めています。というのも、第5話の視聴率が4.8%、第6話が4.9%(関東地区)と、デッドラインの「5%」を割りこみ続けている、という不名誉な理由で。もし「5%」が業界における一つの指標だとするならば、打ち切り危機も単なる煽りニュースとは言えないのかもしれません。

 物語は──東区役所の生活保護担当部署に配属された新人ケースワーカー・義経えみる(吉岡里帆)が主人公。借金苦や自殺未遂、DV……さまざまな事情を抱え相談に来る人、保護を受ける人、保護を拒絶する人。一筋縄ではいかない社会的貧困問題に直面し、奮闘するケースーワーカーのえみる、そして職場の同僚たち。脇には井浦新、田中圭、徳永えりら、今注目の役者がズラリ。

 同名の原作漫画もしっかりとしたコンセプトを持った作品です。作者・柏木ハルコ氏は「人権をどうとらえるかというのが、この漫画の最終的なテーマ」「生活保護制度に対して否定的な考えを持っている方にこそ、この漫画を読んでほしい」とインタビューで語っています。

 原作も役者もメンツが揃っていて、いったいなぜ「4%台」まで落ち込んでしまうのか? その理由を、ちょっと角度を変えて「健康で文化的な吉岡里帆と田中圭は輝けるのか?」という視点から考えてみると……。

 吉岡さんといえば、なんと言っても2017年の話題作『カルテット』(TBS系)で、人の心を弄ぶ謎めいた女性・来杉有朱役で大注目を浴びました。「大好き大好き大好き大好き、殺したい!」「小学校のときはいつも学級崩壊させてた」などと意味不明なセリフをカワイらしく語る有朱。黒い瞳は金属的な冷たさを帯び、笑顔でも目は笑っていない。そんな独特のキャラが吉岡さんにピタリとはまり、注目されたのでした。

 いや、吉岡さんは『カルテット』の前年、すでにクドカンのドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)で不気味キャラによるブレイクの兆しを見せていた。教育実習生・佐倉悦子の役を演じましたが、これが担当教諭・山路一豊役の松坂桃李を食ってしまうほど。ツンデレ系で突然告白したり、泣き出したり、学級内でのいじめ発生を主張したりして、とことん山路を振り回す。純でウブな山路がアタフタする姿が鮮明に記憶に残っています。こちらもまさしく吉岡さんのはまり役、見事でした。

 つまり、「来杉有朱」も「佐倉悦子」も一見すると普通の女の子だけれど、謎めいた破壊者の影がちらついて、「常識」という枠組を壊していくいわばトリックスター。それが物語を回していくカンフル剤となっていた。

 吉岡里帆さん自身もそう。ビジュアルはかわいくて正統派、しかし実はトリックスター的魅力を潜ませている。そもそも役者を目指すきっかけが、大学時代にアングラの王様である唐十郎の『吸血姫』を演じ、芝居にハマったというのだからアバンギャルド性が潜んでいる。では、今回のような市役所の職員役は……どうもハマりにくい。車のCMで オカッパ頭の「おとなまる子」はなかなかな味わい深いのですが……。

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン