「離婚」は遺伝に関係するという研究がされている。たしかに、皆が離婚している一族もある。たとえば、昨年、河野景子さん(54才)と離婚した元貴乃花親方(46才)の一家。息子・花田優一(23才)、兄・花田虎上(48才)、母・藤田紀子(71才)と、家族みんながバツイチなのだ。
脳科学者の塩田久嗣さんはこう話す。
「もちろん離婚にはそれなりの理由があるでしょうが、一方で“もう耐えられない”となるから離婚するのも確か。離婚に踏み切るのは、がまん強さを醸し出すホルモン『エンドルフィン』の分泌が少ないタイプの遺伝子を持つ人と推測されます」
2017年度の司法統計によると、夫婦の離婚理由は「性格の不一致」がダントツのトップで、「精神的な虐待」「暴力を振るう」「異性関係」「浪費する」などが続く。このうち「性格の不一致」「浪費する」などは遺伝的な性格に関係する。性格と遺伝子の関係を研究する東京大学名誉教授の石浦章一さんが話す。
「例えば『神経質』な性格は遺伝するという研究があります。また『浪費する』という性格は遺伝的な『新奇追求性』によるもので、神経伝達物質『ドーパミン』の働きが変わることで、目新しいことや面白いことへの興味が掻き立てられて、ついつい浪費してしまうと考えられます」
男性ホルモンのひとつであるテストステロンが関係する離婚もみられる。
「典型的なのが『暴力を振るう』で、これはテストステロンによる攻撃性の表れでしょう。また、『妻が親との同居に応じない』という離婚理由の場合、妻がテストステロンの多いタイプであるとも考えられます。そうした女性は主体性が強く、姑に家事などを指図されることを嫌がる傾向があるのです」(塩田さん)
身もフタもない報告ばかりだが、「すべては遺伝で決まっちゃうのか…」とガッカリする必要はない。
人間の性格や行動に遺伝的な要因が影響する割合は、30~50%とされる。残りは環境的な要因が大きい。
「特に子供の頃の生育環境は、その子の性格形成を大きく左右します。親が愛情を持って育てれば子供は他人の気持ちを理解するようになるし、家に本がたくさんあれば、自然に勉強するようになります。同様に、両親の仲が悪く子供の面倒を見ずに離婚すれば、子供も大人になって離婚するケースが多い。子供は親を見て育つんです」(石浦さん)
不倫や離婚は生物としての本能的な行為との指摘もある。『「浮気」を「不倫」と呼ぶな』(WAC)の共著がある動物行動学者の竹内久美子さんはこう話す。
「生物学的には、不倫や離婚は“新たな相手の子供をつくることで、子孫が生き残りやすくする”という繁殖戦略です。その本能が強いと不倫家系になりますが、無理に不倫をやめさせると精神的な負担が大きくなる。不倫や離婚が一概にダメなのではなく、そこには生物としての何らかの理由があると考えればよいのかもしれません」
※女性セブン2019年2月7日号