「巷間伝わってくるのは、麻生氏がダブル(選挙)を勧めたと。しかし、首相は慎重に言葉を選んで言質を与えなかった」
さらに永田町に衝撃を与えたのは、解散に否定的だった“影の総理”菅氏の心変わりだ。菅氏は5月17日の会見で「(野党の不信任案提出は)当然、解散の大義名分になる」と語ったのだ。
国会の最終盤に野党が内閣不信任案を提出するのはセレモニーのようなもので、通常、与党は粛々と否決して国会を閉じる。政権を倒せない不信任案を大義名分に“解散はあり得る”というのだから、なりふり構わぬダブル選容認に他ならない。
奇しくも、菅氏はその直前(5月9~12日)まで訪米し、ペンス副大統領らと会談した。麻生、菅両氏に共通するのは、米国訪問後に解散論に傾いたことだ。
「日米貿易交渉で、米国側は日本の自動車輸出や農業で非常に厳しい要求を突きつけてきた。政府は交渉を参院選後まで引き延ばしたいが、最終的には受け入れざるを得ない。そうなれば経済への衝撃が大きい。参院選だけでなく、この夏に総選挙までやった方がいいという議論が官邸で強まっている」(菅側近官僚)
※週刊ポスト2019年6月7日号