「日本の皇室は、男系男子によって約2700年も受け継がれてきた世界最古の王朝。その『万世一系』の伝統は重く、それ自体が世界の中でも“奇跡”なんです。天皇は、国民にとって『国体(日本らしさ)』そのものであり、日本人の心の拠りどころです。そういう感覚は海外にはなく、だからこそ守るべきだと思います」
女系天皇容認派の主張はどうか。皇室研究者の高森明勅さんはこう話す。
「Y染色体の議論は、はっきり言って荒唐無稽です。近年の国立成育医療研究センターの研究では、Y染色体が大きく構造変化する事実が明らかになっており、科学的には成り立ちません」
自分の家庭に置き換えてみると、確かに血のつながりを重んじる気持ちも理解できる。しかし、だからといって、女は認めず男は認めるという主張は、現代の風潮にはなじまないかもしれない。それが皇室という“聖域”であっても、違和感を覚える人は少なくないだろう。
憲法第2条には《皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する》とある。あくまで世襲するもので、そこに男女の別までは明記されていない。ジャーナリストの田原総一朗さんの意見だ。
「第二次世界大戦に負けるまでは、日本は完全に女性差別の国でした。しかし、敗戦後は徐々に男女同権に向けて進んでいる。国民の象徴であるはずの皇室だけ、なぜ女性差別を残すのか。伝統だから? まったく理屈に合いません」
国際政治学者の三浦瑠麗さんが現実的な意見を話す。
「側室制度がなくなった今、女系や女性の天皇を認めなければ、いずれ皇位継承が途絶える可能性があります。天皇は象徴。今は戦乱の世の中でもないため、天皇が男性である必要性は感じられません。
実際、今、女性・女系天皇について議論しない合理的理由としては、悠仁さまの継承権を否定してしまう『物騒さ』くらいのものでしょう。男女差別的な価値観により、女性天皇が『一般人男性』と関係を持つことへの『嫌悪感』を抱く人すら存在しますが、そのような感情に配慮する正当性はありません」
※女性セブン2020年1月16・23日号