1994年2月3日の午前1時、細川首相は異例の深夜緊急会見を開いて税率7%の「国民福祉税」を創設すると発表した。

 しかし、これに与党第一党の社会党が激しく反発、8党派の寄り合い所帯だった政権は内部崩壊を起こし、細川氏は2か月後に退陣を表明する。国民の期待を集めた政権交代はこうして潰えた。

 かつて「防衛省の天皇」と呼ばれたのが守屋武昌・元防衛事務次官だ。

 小泉内閣時代の2003年に次官に就任すると人事で側近を重用し、後継次官候補の官僚を次々に左遷し、「次官1年、長くても2年」の霞が関の慣行を破って異例の4年にわたって次官にとどまって権勢を恣にした。

 その陰で、守屋氏は防衛商社と癒着、夫婦同伴の旅行やゴルフ接待を受けて防衛省の防衛装備品の納入で便宜を図っていた(辞任後に汚職事件に発展)。

 第一次安倍内閣の小池百合子・防衛大臣が就任直後に守屋次官の交代と新次官人事を内定すると、反発した守屋氏はなんとこれを拒否する。守屋氏は官邸に根回ししてイエスマンを自分の後任の次官に据えようと工作し、防衛省内で“内乱”を起こしたのだ。

◆菅直人氏、野田佳彦氏を籠絡した官僚

「消費税は上げない」と国民に公約して政権をとった民主党内閣は、消費税増税という国民への裏切りで瓦解した。

 その立役者が菅内閣と野田内閣の2代にわたって財務事務次官を務めた勝栄二郎氏だ。この人物の“凄み”は、政治家に増税推進と引き換えに権力を与えたことである。

「官僚は大バカ」と言っていた菅直人氏は、鳩山内閣の副総理兼財務相に就任すると増税反対派から増税派に変身。鳩山政権の後を継いで首相になると突然「消費税10%」を掲げ、東日本大震災が発生すると復興の前に「復興増税」を決めた。裏にいたのが勝次官である。

 シロアリ演説(*)で知られた野田佳彦氏も同じ手法で籠絡された。財務相になると増税推進派に転じ、菅首相の失脚後、首相に就任すると民自公3党合意で消費税10%へのレールを敷いた。

【*2009年の衆院選の演説で、天下り官僚をシロアリにたとえて「シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ消費税を引き上げる話はおかしいんです」などと語っていた】

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