もう一つ思うのは、松本は芸能スキャンダルにそれほど興味がないのではないかということである。MCの東野幸治は逆のタイプであり、どんなニュースにも前のめりになる。筆者もたまにテレビ局のメイク室で、「あれ、どういうことなんですか?」「ほんまですか?」などと聞かれることがある。MCが多いから勉強しているのかもしれないが、恐らく、「嫌いじゃない」のだと思う。
だが、芸能人で東野のようなタイプは珍しいのかもしれない。筆者が『バイキング』や『バイキングMORE』に出演していたとき、「そもそも、こういうニュースに興味がないんで」と明言するタレントも多かったものである。
特に『バイキング~』が度々扱っていた有名人の不倫スキャンダルについては、カンニング竹山や土田晃之らが「興味がない」「どうでもいい」と言っていた。それでも見解を搾りだし、笑いもとるプロフェッショナルぶりには毎回感心させられたものだが、実は坂上忍も同じタイプであった。彼が『バイキング~』卒業後、ワイドショーや芸能人のゴシップに一切興味を示さない=見ていないのは有名な話。私が度々「坂上忍はMCを演じていた」と書いていたのは、こうした理由なのである。
相方の不倫騒動を「フレンチクルーラー、持ってこい!」
松本に話を戻すと、彼の“ワイドナ”での役割は、何かやらかした同業者をイジり、笑いで救ってやることであり、突き落とすようなことでは決してなかった。
昨今、度々報じられる相方の“パパ活不倫”記事についても、松本は“ワイドナ”ではなく、5日放送の『ダウンタウンのガキのつかいやあらへんで!』(日本テレビ系)で「フレンチクルーラー、持ってこい!」という天才的なイジリで笑いにもっていった。2月22日に急逝した笑福亭笑瓶さんの名場面集を放送するも、相方のあまりにもあっけらかんとした様子に、「(フレンチクルーラーを)出してくれ! 泣くかどうか」とキレて見せた松本。パパ活報道で女性が相方に持って行ったフレンチクルーラーに「泣いて喜んだ」との記述があったからだ。
松本卒業後の“ワイドナ”では、MCの東野と共に、ロンドンブーツ1号・2号の田村淳の出演回数が増えると予想する。帯の生ワイドのMCを希望している田村は、“ワイドナ”でも存在感を示し続けているからだ。
とはいえ、松本目当てで同番組を見ていた視聴者が物足りなさを感じてしまうのは間違いないだろう。4月の改編期には、多くの番組で出演者が入れ替わるものだが、松本人志が居なくなるのは大きすぎる。ちなみに7日午後の時点での松本の最新ツイートは、「ワイドナショー関連の記事を書いている皆さん。ちゃんとコア視聴率を調べて書いて下さいね。世帯視聴率? 古っ!」である。『ワイドナショー』の今後に注目したい。
◆山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。