1986年、第1回東京国際映画祭に参加したアニメ映画観覧のため列ができるほど人気を集めていたが、芸能の世界では「格下」のままだった(時事通信フォト)

1986年、第1回東京国際映画祭に参加したアニメ映画観覧のため列ができるほど人気を集めていたが、芸能の世界では「格下」のままだった(時事通信フォト)

 アニメ誌やゲーム誌などの「オタク系」(当時のマネージャー氏曰く)というだけで「撮影は許可媒体のみ」とその芸能人だけ載せられなかった経験は私にもある。もちろん当日取材のオタク系すべてである。許可媒体とはもちろん一般誌、そういう現場の空気というか、いまでは考えられない時代はあった。その扱いも酷いものだった。

「ジャニーズ事務所のスタッフの方々も仕事には厳しかったが、他の一部大手事務所のような不遜な態度や、露骨に馬鹿にするような姿勢はなかった。そんなの当たり前と一般の方々は思われるでしょうが、むしろアニメなんて馬鹿にされるのが当たり前だった。多くのクリエイターと当時のファンがそれを変えていったから今があるんです。私だってアニメ(の部署)なんて可哀想、と言われたものです」

 彼は「せっかくなので書いてください」と踏み込んだ話もしてくれた。

「昔の芸能事務所なんて大手でも怖くて、恫喝してナンボみたいな社員が普通にいました。『うちの大事な◯◯をマンガ(アニメのこと)に出ろなんてバカにしてるのか』と電話口で怒鳴られるとか、これは私の話ではありませんが『声優なんて顔も出せないブサイクやブスがやる仕事だろ』とか、『(やりたくない仕事だから)ギャラ1000万円よこせ』とか、本当にそんな時代もありましたから」

 あえて証言のままに書くが、これは本当の話である。1980年代はもちろん、1990年代でもその残滓として芸能界にこの空気はあったように思う。私の経験でも「オタクが読む雑誌の表紙なんてイメージが悪い」と拒絶する大手芸能事務所はあった。本当に多くのクリエイターや当時のファンの努力、そしてインターネットという大変革と日本社会の価値観のアップデートを経て(それだけが要因ではないにせよ)現在がある。

 そして、その「アップデート」は「コンプライアンス」の問題も含まれる。

私にできたことですか……ないでしょうね

「ジャニーズ問題ね、今日はその話ですもんね。大変な時代になりましたね。そりゃ噂では聞いてましたよ。情報の限られた時代でしたけど、週刊誌とか暴露系のアングラ本とかで」

 告発はもちろん、ジャニーズの一連の問題、とくにジャニー喜多川氏の噂は古くから一部の出版社や雑誌、ジャーナリストが追っていた。しかしことごとく、巨大な放送メディアと芸能界の権力に潰されてきた歴史がある。

「でも自分ごと、として考えたことはなかったですね。あくまで仕事ですからね。というか、意識することはなかったというか『まあ芸能界だから、仕方ないか』という感じです。それこそ普通に、男女の区別なく、未成年の枕接待だって『それが何か』どころか茶化すような業界、そして時代でしたからね」

 過去の話、それでも「確かにあった」話である。

「ジャニーズ問題で私にできたことですか……ないでしょうね。多く業界関係者はそうだったと思います。ジャニーズが怖いとかより、当時はそういう時代で、そういう社会だった、ということでしょうか。駅で煙草を吸えたし、子どもでも自販機で煙草や酒が買えた。ほとんどの人は車でシートベルトなんてしなかったし、犬や猫は放し飼いだった。そんな時代でしたから」

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