向井理は「カメラがどこにあるのか常にわかっている」
そのゴージャスな衣装も相まって孔明の一挙手一投足が優雅で美しい。
「第1話のカクテルを作るシーンでは、向井さんが実際に以前バーテンダーをされていたのでありがたかったですね。孔明の演技面では、(向井さんに)ひとりだけ大河ドラマとか時代劇のテンションでやってほしいとお願いしました。
孔明以外の登場人物は現代人なので、べちゃくちゃ喋っている中で、孔明だけはどっしり、ゆっくりと独特の間で喋ってもらっています。(孔明が)ふざけているからズレているのではなくて、元々持っているものがズレているという状況を目指しました」
原作では番外編として描かれている「孔明が現代の東京で部屋探しに挑戦する」一幕をドラマに組み込んだのも「孔明はどこに住んでいるんだろう?」という疑問に答えリアリティを担保するためだ。
向井とは初めて現場を共にした渋江は、向井の凄さを目の当たりにした。
「(向井さんは)カメラがどこにあるのか常にわかっているんですよ。歩道橋の上で英子(上白石萌歌)と孔明が語り合う4分半程度の長回しシーンの撮影では、向井さんはどう動けば、どう映るのか、全部把握していました。英子が写るアングルにかぶらないように、孔明らしい所作をうまく使いながら逃げて回り込んだり、ものすごく安心感がある。おかげでこのシーンはワンカットの長回しで撮ることができました。こちらの演出の幅が広がりましたね」