石田純一、東尾理子夫妻は22歳差(時事通信フォト)

石田純一、東尾理子夫妻は22歳差(時事通信フォト)

 その後二人は何度も話し合い、子育てが落ち着いた時点で、妻が経理の専門学校に通うことを決めた。また、できるだけ妻が家庭内だけの生活に埋もれないよう、外出や旅行の機会を増やした。

「結局、外の世界を見れば価値観は変わるわけで、私が先に老いて、まだ若い妻に捨てられるかも知れないという恐怖はずっとあります。でも、周りから”ほら見たことか”と言われなくていいよう、妻と一緒に世界観を拡げていきながら、お互い切磋琢磨していければいいかなと」(松野さん)

 今では妻は、松野さんの経営する工務店の経理一切を取り仕切るまでになり「すでに尻に敷かれている」と笑うが、妻の世界を狭めないようにしたいと思う反面、逃げられるという不安や自信のなさは相変わらずのようでもある。

 そもそも、法律を守ってさえいれば、歳の差のある男女の交際や結婚は他人からとやかく言われるべきものではない。しかし、社会がなんとなく抱いている「常識」は、今も男女の極端な年齢差の婚姻を歓迎してはいないし、大半の人々が違和感を抱く。松野さんのように、相手を尊重し、お互いに高め合うことができていれば、社会の白い目に対する反論にはなりうるだろう。今回、ここで紹介する例として、複数の関係者にあたり、さまざまな伝手を頼ってもみたが、男性が年上の年の差婚の後に、今も当時の男女のパワーバランスが保たれている、もしくは均等であるという例にはついに行き当たることはなかった。「お宅はうまく行っているのでしょう?」と、思いつく限りの”周囲からはそう評価されている人”にたずね回ったが、その程度に差はあれ「捨てられる不安」を口にしない人はいなかった。「年の差婚」は、一般的な婚姻よりも互いの覚悟が必要なようだ。

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