ある現場では、一人でロケ弁を4個平らげたこともあったという

ある現場では、一人でロケ弁を4個平らげたこともあったという

 同記事では、前田はAKB48時代の2006年、靖国神社で行われた桜フェスティバルでライブを行ったことや、2009年6月に防衛省・自衛隊の広報雑誌『MAMOR(マモル)』の表紙や特集ページに登場していたことを指摘。そのことが、一部の中国のインターネット民に「日本の軍国主義に加担した過去」などと非難され、「出演させるべきではない」という意見が番組サイドに寄せられた結果、「前田は辞退せざるを得なくなった」としている。

「SNSを見る限り、前田さんの出演取り消しを求める声はそれほど多かったようには見えません。番組側の過剰反応のようにも感じますが、反日ナショナリズムの火種は何かの拍子に急に燃え盛ることも少なくありません。莫大な予算で人気芸能人をキャスティングしている番組だけに、放映中止のリスクはわずかでも取りたくなかったのでしょう」(前出・周氏)

「網易」の記事の真偽は不明だが、中国ではナショナリズムがキャスティングに影響を及ぼすことがあるのは事実だ。2021年には『鬼滅の刃』の胡蝶カナエ役として知られる女性人気声優、茅野愛衣も同じく「靖国」を理由に、中国市場から排除されている。茅野自身が、靖国神社でCDのヒット祈願を行ったことを語っていたYou Tubeの音声番組が翻訳付きでインターネット上で拡散された結果、中国で配信されている彼女出演の美少女ゲーム複数本が、配信中止に追い込まれたのだ。

 前田や茅野にとってみれば、中国サイドの言い分は“イチャモン”というレベルではないだろうか。

 日本の芸能人の間でも、中国の巨大エンタメ市場への進出を目指す動きは活発化している。しかし、反日ナショナリズムに起因するこうした中国特有のキャンセルカルチャーに突如巻き込まれるリスクは、日本人である限り常に付きまとうことになりそうだ。

取材・文/広瀬大介

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