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日夜、街の治安維持に励むLAポリスたち(写真中央の女性がYURI氏)
【インタビュー後編】高卒シングルマザーYURIが「30代でLAポリスを志した理由」
 全米屈指の犯罪都市でもあるロサンゼルス。そこで警察官として日夜、公務に励む日本人女性がYURI(永田有理)さんだ。34歳の時に現地のポリス・アカデミー(警察学校)に入学して警察官になったというが、どんな経緯があったのか。日本に7年ぶりに一時帰国したYURIさんに話を聞いた。【前後編の後編。前編から読む】警察学校を卒業できたのは60人中18人──そもそもYURIさんはなぜアメリカで警察官になったのですか。YURI:高校卒業後に渡米して、語学学校を経て現地の大学に進学しました。当時はプロのダンサーになる夢がありましたが、在学中にアジア系アメリカ人の男性と出会って学生結婚。7年間の専業主婦生活を経て離婚しましたが、高卒でバツ1のシングルマザーが日本に帰国してもまともな仕事につける気がしなくて、ロスで職探しを始めました。当時はロスに初めてできた「カレーハウスCoCo壱番屋」の1号店でも働きました。 私は昔から「人の役に立ちたい」との人生の目標があり、定職を探す最中に「警察官になりたい」との気持ちが芽生えました。それで猛勉強をして現地のポリス・アカデミー(警察学校)に入校したんです。──ポリス・アカデミーでは屈強な教官に厳しく鍛えられたそうですね。YURI:ほとんど軍隊でした。自宅から通いましたが、朝5時にはグランドに行き、直立不動で整列しなくてはならない。落ち着きがない者は警察になれないとされ、整列時には眼球を動かすことも禁じられました。最も鍛えられたのはメンタルで、顔の先2センチまで教官の顔が迫り「お前はクソだ、帰れ!」「お前なんて警察になれるわけがない!!」とひたすら罵倒されました。誰かがミスすると連帯責任で全員が腕立て100回。6か月後に晴れて卒業できましたが、60人いた同期生は18人になっていました。 そこまでハードに鍛えられたのですが、アカデミーを出て1年目の勤務では精神面をやられました。大きかったのは遺体をたくさん見たことです。知り合いが殺害されたり知っている人が自ら命を絶ったりという出来事も相次ぎ、心の平静を保つのが大変でした。 ただ私は人間の死に慣れてしまって当たり前のこととして流すのではなく、ひとりひとりの死をしっかりと受け止めたいと思っています。だから毎回、ダメージを受けてしまう。心の傷を負った時は、自宅近くにある大好きな海を見に行って癒しています。──危険な任務ゆえ、葬式用に正装した写真を撮り終え、葬儀の内容も決めているとか。YURI:そうですね。でも誰しもいつかは亡くなるので、生命保険に入るのと葬式の準備をすることは同じです。それにアメリカでは業務中の警察官が亡くなる確率よりトラック運転手が亡くなる確率のほうが高い。そう考えたら、“今日撃たれて死ぬかもしれない。怖い怖い”なんて気持ちはなくなります。どうせ誰もが死ぬなら、私はやりたいことをやって死にたい。たとえ凶悪犯に殺害されようとも、誰かを救って殉職するならそれで構いません。日本の警察官は装備が軽すぎる──YURIさんはロスで警察官をしながら人身売買の被害者をサポートするNPOラブ・スペクトラムを立ち上げ、YouTubeやInstagram(@1114lajpn)でも積極的に情報発信をしています。日本の警察官から悩みを持ちかけられることも多いそうですね。YURI:私のSNSをフォローしてくれる多くの日本の警察官は「日本では銃を使いにくい」と言っています。アメリカは警察が武器でも人数でも犯人を上回ることが鉄則で、犯人が1人なら警察官は3人、ナイフを持っていたら銃で対処します。 でも日本では使用要件が厳格で実質的に銃を使えず、ナイフを持った犯人に警棒で立ち向かわなければならない時もある。 アメリカではナイフとは距離を取るように訓練されるので、警棒片手に距離を縮めるなんて、自分から殺してと言っているようなもの。警察官がかわいそうすぎます。 しかも日本の警察官が持つ銃弾は5発だけだそうです。私がいつも携行する銃は1丁18発入りで、17発入りのマガジンが2本。さらにショットガンとライフル、ゴム弾とテーザーガンを装備して毎日パトロールします。武器の選択肢が多くて困っちゃうほどです(苦笑)。──さすが銃社会のアメリカです。YURI:向こうのポリスは24時間警察官という意識があり、警察はただの仕事ではなく生き方そのものになっています。銃の管理も個人に任されていて、私は非番の日も銃は最低1丁持ち歩き、車の中には手錠が入っています。 もちろん日本とアメリカの事情は違いますが、それでも日本の警察官の装備は軽すぎて、警察にケガ人や死者が出ることを防げません。だから最低でもスタンガンと銃を組み合わせたテーザーガンやゴム弾を導入すべきです。市民のために働く警察官が自分の身を守り、ケガをしないで家に帰れるシチュエーションにする必要があります。日本の警察官はなかなか声を挙げにくようなので、部外者の私がそう強く訴えたいですね。──ロスで危険な任務をこなすYURIさんから、日本の社会はどう見えますか。YURI:最初にもお話した通り、日本人の危機意識の低さはどうしても目につきます。でもそれは逆に言えば、日本人がとても安全な国に住んでいるということです。日本人が当たり前と思っている安全な雰囲気はお金では買えず、最高に幸せなことです。住んでいると慣れるのだろうけど、ここまで安全な国は世界でもないはずです。そう考えると日本は本当に素晴らしい国だと思います。 ただしいつどこにでも危険は潜んでいます。だからこそ平和ボケから目を覚まして、もう少し日常生活から危機意識を持つべきだと思います。──改めて、自分の身を守るにはどうすべきでしょうか。YURI:命を守るには、まず常に周囲をよく見て、危機に備えたイメージトレーニングをする習慣をつけること。それに護身用の武器を携帯しておくことが必須です。爪ヤスリや毛抜きの先、ピンセットなど、様々なものが合法的な武器になります。非力な方は「私の武器はコレ」と決めておくのがいい。 あとはひとりひとりがシャイにならないこと。外出先でいったん席を離れる際は「ちょっとこの荷物を見ていてもらえますか」などと、周りの人とコミュニケーションすることも大切です。自分の身を守るだけでなく、誰かの危険を察知した場合も、「カバンの口が開いてますよ」などとお互いに声をかけて、協力し合うことが防犯につながるはずです。「声をかけなかった時のリスク」を考えて──日本人は「注意したら、相手の迷惑かも」と思ってしまいがちです。YURI:迷惑よりも、自分が声をかけなかった時に起こり得るリスクを考えることです。警察の仕事も同じですが、「もしかしたら何もないかもしれないけど、何か起こった場合にどうなるか」と最悪の事態を想定します。 ちょうどこの間、日本の駅で背中のカバンにスカートが引っかかって、下着が見えていた女子高生がいたんです。ここは日本だし、注意すると変なおばちゃん扱いされるかと一瞬躊躇したけど、それでも「ちょっと! スカートめくれているよ!」と声をかけました。 周りに人がいたから声をかけるのに恥ずかしさもあったけど、もしも私が注意しなかったら変質者が女子高生の後をつけて、人目のつかないところに押し込まれるかもしれない。そんなリスクを考えたら、私が周囲に白い目で見られることなんてなんでもありません。ひとりひとりが持つ正義感を大切にしてほしい。──そうしたおせっかいな正義感がいまの日本社会には欠けているのかもしれません。YURI:私がLAポリスになって学んだのは、犯罪の恐ろしさです。被害を受けた人は大きなトラウマを負い、心がぐちゃぐちゃに潰されて立ち直れなくなります。被害者はそれまでと同じ人生を歩めなくなるんです。 そんな現実を思い知らされたからこそ、守れるときに守れる人が守らなければならないと思う。みんながそんな気になって自分を守るだけでなく、誰かを守るためにも行動してくれたらうれしいですね。●取材・文/池田道大(フリーライター)

国際情報

御年96才のエリザベス女王(時事通信フォト)
在位70年・エリザベス女王の健康術 モーニングルーティンは日光浴、紅茶、入浴
「女王が君主でとても幸せ」「一生に一度の経験ができて本当に感激している」「これからも末永く、チャーミングなお姿を拝見したい」──ユニオンジャックを手に英ロンドンのバッキンガム宮殿前に集まった英国民たちは興奮した様子で口々にこう話す。 イギリスでは6月2日から4日間にわたり、エリザベス女王在位70年の祝賀行事、プラチナ・ジュビリーが開催された。空軍による儀礼飛行やパレード、祝賀コンサートなどが行われ、ロンドンはお祝いムードであふれた。 1926年4月21日、父のジョージ6世と母・エリザベス王妃の長女として生まれたエリザベス女王は、1952年にジョージ6世が56才の若さでこの世を去ったことに伴い、25才で即位。96才の現在も英国君主として君臨し、その在位期間は歴代最長を誇っている。英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんが解説する。「“君臨すれども統治せず”をモットーに、政治には深く介入しないスタンスを持ちつつも、人と人、国と国とを結ぶ役割を果たしてこられました。加えてTwitterやインスタグラムなど最新のテクノロジーを駆使して、“開かれた王室”を作ってきた女王の貢献は計り知れません。今回のイベントでの経済効果は約1兆円といわれており、コロナ禍後の経済回復の起爆剤になることも予測されています」 平均寿命が約82才とされるイギリスにおいて、それを軽々と飛び越え、96才にしてなお国民からの愛に元気でチャーミングな姿で応え続けるエリザベス女王。衰え知らずの活躍ぶりの背景には門外不出の“超健康術”があった。「モーニングルーティン」は日光浴、紅茶、入浴《私の人生を常に奉仕にささげる》──そう誓って、25才の若さで一国の女王として君臨して以来、96才になったいまも公務を続ける女王の生活は、変わらないルーティンを保つことによって成り立っている。「これまで約6000団体のパトロンを務め、2万1000件以上の公務をこなしてきた女王。起床する時間から夜眠るまで一日の流れはすべて決まっており、それに則った生活を送りながらも、常に新しい情報をアップデートする勤勉さも持ち合わせている。お母様のエリザベス皇太后も101才まで長生きしたため、そもそも“長寿家系”である可能性はありますが、健康を維持するためのご自身の努力が大きいのでしょう」(多賀さん) 英メディアの報道によれば女王は毎朝7時半頃に起床し、カーテンを開けて日光を浴びるのが日課。その後、アールグレイをベッドサイドで飲みながら、BBCラジオでニュースを聴く。 ナビタスクリニック立川の内科医・山本佳奈さんは女王の“モーニングルーティン”の中でも特に重要なのはカーテンを開けて日光を浴びることだと話す。「太陽の光は、丈夫な骨を作るために必要なビタミンDの生成を促す効能があります。日本ではまだあまり浸透していませんが、欧米では積極的に日光を浴びることが健康法として取り入れられている。日照時間が短いほどうつ症状が出やすいというデータもあるため、心の健康のためにも日光浴は推奨できます」(山本さん) 日光に加えて、一杯の紅茶も女王の健康を保つことに一役買っている。 フランスで行われた13万人を対象とした大規模研究によって、紅茶を飲む習慣が死亡リスクを24%下げ、心血管疾患を予防することが明らかになっているのだ。 ティータイムが終わると女王は浴室へ。入浴を済ませた後、用意された服に着替える。精神科医の渡邊宏行さんは朝風呂の効能をこう語る。「朝に熱いお湯につかることで、血流が促されて刺激されるとともに、体温上昇にともない交感神経が優位になることで目が覚めて頭がさえる。加えて、毎朝同じ時間に起きることも健康長寿を体現するにあたって重要なポイントです。起床時間にずれが生じると“時差ぼけ”のような状態になり、体に負担がかかります」女性セブン2022年7月7・14日号

芸能

元TBSアナウンサーの林みなほ(オフィシャルサイトより)
元TBS・林みなほアナ離婚、インスタで匂わせていた「貧乳源一郎」との別れ
 元TBSでフリーアナウンサーの林みなほ(32)が、TBSラジオの橋本吉史プロデューサー(42)と今年2月に離婚していたことがわかった。ふたりは2016年7月に結婚し(橋本氏にとっては再婚)、2017年11月に待望の第1子男児が誕生した。 橋本氏は一橋大学の学生だった頃、“貧乳源一郎”などのリングネームで学生プロレスの世界ではちょっとした有名人だった。TBSラジオ入社後は『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』や『ジェーン・スー 生活は踊る』、『アフター6ジャンクション』といった人気番組を立ち上げて、ギャラクシー賞ラジオ部門でも何度も受賞している。そんな年上の敏腕ラジオプロデューサーに惚れ込み、林は自ら告白したという。ラジオ番組関係者が語る。「橋本さんがプロデューサー、林アナが水曜パーソナリティを担当していたTBSラジオ『ザ・トップ5』が出会いの場です。林アナからアタックされて、橋本さんは『プロデューサーがいち出演者と恋愛関係になっていいのか』としばらく悩んだみたいです。職場恋愛ということで、結婚を見据えて交際スタートしました」 林アナは新婚当時、橋本氏を〈些細なことから楽しいことを見つけられる人〉と評していた。〈以前はちょっとした事で不安になったりネガティブ思考だった私ですが、彼と出会ってから、心の余裕と安定が生まれたと思います。一番の味方がそばにいてくれることで、こんな風に強く穏やかでいられるのかと感謝の気持ちでいっぱいです〉(『JJ』2017年8月) しかし、近年は夫婦関係の変化を感じさせる発言もあった。「昔はよく夫の写真をSNSにアップしており、なんとキス動画を公開したこともあります。しかし、昨年1月に放送されたバラエティ番組では、『(夫は)もう全然好きじゃない』や『婚約指輪をうっかり捨てちゃった』と爆弾発言を連発していました。結婚生活がある程度長くなってきたからこそ言えるネタだと受け止めていましたが……」(芸能記者)  4月1日には、Instagramに意味深長な投稿もしている。〈私は、家族のカタチに変化があり、新生活が始まりました ここ数年、人生において割と大きな選択の連続をしているのですが、どの選択も後悔はなく、自分の直感を信じて、スピード感を持って前に進めている実感があります〉 当該投稿には離婚を疑う声も寄せられたが、林は答えないままだった。離婚は、あくまで円満なものらしい。「お子さんもいますし、離婚後も元夫との関係は良好と聞いています。林アナは2019年9月にTBSを退社した後、フリーアナウンサーに加え、美容サロンの経営者としても活躍しています。行動力のある方ですから、離婚は前向きな決断だったのでしょう」(前出・芸能記者) 人生の転機を迎え、今後ますます仕事にまい進しそうだ。

スポーツ

厩舎からの馬券サインとは?
ダート替わり、ブリンカー装着、右回り→左回り 厩舎からの馬券サインを見逃すな
 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、厩舎からの馬券「買い」のサインについてお届けする。 * * * 2歳新馬戦が始まっておよそ1か月が過ぎました。お気づきかと思いますが、最初はほとんど芝で、ようやくダートのレースも組まれるようになってきました。 3歳クラシックや古馬になってからのGIの多くが芝コースで行なわれることもありますが、オーナーも“親心”としては愛馬を芝で走らせてやりたい。血統的にダートがよさそうでも、連勝したりすると「もしかしたら芝も」って思ってしまうものです。ダートレースの賞金も徐々に高くなってきていますが、日本の競馬文化の中では、できれば芝を使いたいということがある。 アメリカなんかでは、ダートから芝にいっているケースが多いし、強いけれど脚元がまだ弱いときはダートから入る馬もいる。エルコンドルパサーもデビュー戦はダートでしたが、やはり一般的に「強い馬」は芝でのレースをメインに考えていきます。 だから、芝を何回か使って勝ちきれないときにダートを走らせてみるかどうかを考える。そんなとき調教師は「走法がダートに向いている」とか「ダートを使ってみたかった」と言ったりしますが、つまりは芝で結果が出ていないというのが大きい。勝ちきれない競馬が続いているのなら、何か新しいことを試して活路を見出さなければいけない。ダメなことは何度やってもダメでしょう。 もちろんダートを使っても勝てないことはある。それで「やはりダートは向いていなかった」というと何をやっているんだと言われるかもしれないけれど、やってダメなら納得もいきます。ずっと芝を走らせて未勝利で終わった馬を地方のダートで走らせると連勝するかもしれない。でも、そうなってからでは遅いので早い時期に試したい。厩舎はその馬に走ってもらってなんとか稼ごうと考えての決断。相手関係などがあるかもしれないけれど、普通に考えたら「ダート替わりは狙い目」ですよ。 馬は相手との関係性に敏感です。前回お話ししたように、人間相手でもそうなんだけど、弱いと思う相手には「オレ強いんだぞ」と誇示したくなる。逆に周囲の馬が強いと小さくなっています。降級制度があった時みたいに下のクラスに行くと、また「オレが一番だ」って。言い方を変えれば自信を取り戻すというのでしょうか。自信を持つというのは馬の中では大事です(人間もですが)。 そのためにはダート替わりに限らず、結果が出ないときは何かを変えて自信をつけさせなければいけない。調教を変えたりしたときはわからないかもしれないけれど、馬の意識を競走に集中させるためにブリンカーを装着したりするのは、ちゃんと出走表に明記されている。その他距離を縮めてみたり、右回りばかり走っていた馬をわざわざ左回りの競馬場で走らせたりすることがある。これらはある意味「(馬をよくするために)変えましたよ」という厩舎からのサインです。 僕が点ではなく線で見たほうがいいよというのは、そういうことでもあります。馬装具は他にもいろいろありますが、あれ、前回は何も着けていなかったのに……といった変化を見逃すと、おいしい馬券はなかなか取れないと思いますよ(笑)。【プロフィール】蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。※週刊ポスト2022年7月8・15日号

グラビア

ビジネス

店主と客の温かい交流と旨いつまみが評判の老舗
「料理も背中も大きくて温かい」と店主を慕う客で賑わう横浜・反町の角打ち
 横浜駅の隣、東急東横線・反町(たんまち)駅から徒歩7分、通り沿いに建ち並ぶマンションの狭間で、昔懐かしい昭和の情緒を醸す『三國屋酒店』。 印象的なレトロな木枠の引き戸を開くと、木目調の壁に貼られた和服美人の古いポスターやたくさんの著名人のサイン色紙が目に飛び込んでくる。店の奥では、“みっちゃん”と愛称で呼ばれ、客に慕われる3代目店主の岩瀬光重(みつのり)さん(49歳)がせっせと料理を仕込んでいる。「昭和9年に祖父が酒屋を始めて以来、店先で細々と角打ちはやっていたんですが、25年前、親父から店を継いだときからもっと本格的に角打ちをやっていこうと決めました。 料理は、うちから酒を仕入れてくれる居酒屋さんで教えてもらいました。原価を抑えて旨い味に仕上げるのがプロの料理人だって、さんざん教え込まれましてね、やり始めたら楽しくなっちゃって、メニューの数がどんどん増えていきました」(店主)「穏やかで、食いしん坊のみっちゃんが作る料理はどれもおいしいの。大きな背中がクマさんみたいで癒されます」(30代)。「焼きうどんだとか、特大鮭カマとか、温かい料理はいつも大盛りで絶品ですよ」(50代)。 店主は、市場を巡って、その日の掘り出し物をみつけてくるという。 今日の目玉は特大鮭カマ。焼き始めると、脂がのった鮭の香ばしい匂いがふわりと店内に漂い、食欲をそそる。「この鮭は、私たち常連が『海賊』と呼んでいる漁師も認める絶品。なかなかほかで味わえないわよ」(50代)と、ふっくら焼きあがった鮭カマをつまみに、客らは陽気に酒を傾ける。「庶民的で温かい店ですよ。私は昔プロレスをやっていたんだけど、初めて来たときから胃袋を鷲掴みにされました。出会いがしらにパワースラム(投げ技)、じわじわサソリ固めを決められた感じ(笑い)。 後楽園ホールで引退試合をしたとき、みっちゃんはサプライズゲストとして駆けつけてくれたんです。リングの上で花束贈呈してくれて、あれは嬉しかったですね。 現役を退いた今も柔術の道場で汗流して、帰りにここで一杯飲むのはたまらなく幸せな時間ですよ」(元女子プロレスラー・40代)「初めてこの店を訪れたとき、祖父母の家のような匂いがして引き込まれました。なんだか落ち着くんですよね。毎晩仕事帰りにここに寄って一杯やって、夫と待ち合わせて家に帰るのが日常です」(書道講師、30代)。「お母さんの代から長年通っているけど、私が体調を崩したときにはお母さんが作った煮物をみっちゃん(店主)が届けてくれたこともありました。店先で繰り広げるちょっとした親子喧嘩も見てきたから、なんだか親戚の家みたいな感覚で、居心地がいい店なんです。 みっちゃんには、色々人生相談にも乗ってもらってますよ。余計なことは言わない優しさがある。『誰が何と言おうと、自分が決めたことならいいんじゃない』なんて、背中を押してもらったこともありました」(看護師、50代)「角打ちをやっていると、これまでの自分の人生には関係なかった人たちとのご縁に恵まれます。プロレスラーや習字の先生など、いろんな世界の人に出会えるのが嬉しいね」と店主。「お客さんとは、1994年から草野球チーム『横浜バローズ』を結成していて、僕は監督をしているんです。毎年、夏に三國屋野球大会も開催しています。いつか横浜スタジアムで試合をしてみたいという夢があったのですが、結成から10年越しで、ついに叶いました」と語る店主に「あとは嫁さんだけだね」(50代)と馴染みの客が突っ込み、笑い合う。 明るい笑顔と温もり溢れる店で人気の酒は『焼酎ハイボール』。「爽快な辛口が好み。先代から受け継がれた名物ぬか漬けをあてに、さぁ、もう1杯!」2022年5月9日取材■三國屋酒店【住所】神奈川県横浜市神奈川区広台太田町5−2【電話番号】045-323-3802【営業時間】17~23時(ラストオーダー22時)、日曜定休 焼酎ハイボール280円、ビール大びん430円、特大鮭カマ塩焼600円、ホワイトアスパラガス500円、お新香(ぬか漬け)250円※営業時間等に関しては、店舗にお問い合わせください。

ライフ

大きな港がある街でも外国船での検死を引き受けてくれる医師を見つけるのは難しい(イメージ、時事通信フォト)
日本に住む米国人医師が語る、外国船で死亡した人の検死事情「日本の医師は誰もやりたがらない」
 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、日本近海を航行中の外国船で死者が発生したときに行われる検死について。 * * * 元米国軍人で、日本に居住して数十年になるという米国人医師が日本各地に寄港する外国船籍の船舶に、事ある度に出向いていくという話を聞いた。その度に、どこにでも出かけていくのだという医師は、すでにかなりの高齢だ。物腰はソフトで柔らかく、優しい表情を見せているが、元軍人というだけあってその目が笑うことはない。 日本に寄港する外国船に医師が出向くとはどのような状況か。貨物船やタンカー、大型漁船などの船員や乗組員が急な病に倒れ、その治療にあたるため呼ばれるのかと思ったが、そうではなかった。航行中、船内で人が亡くなってしまった時、船舶は加入している保険会社にその旨を連絡する。船長が日本の港で遺体を下船させると判断すれば、保険会社は提携している日本の葬儀会社に連絡し、葬儀会社は遺体を下船させるための手続きを進める。だが下船させるためには、まず検死が必要になる。その検死のために彼は呼ばれているのだった。 彼が呼ばれるのは比較的大型の船が多いというから、寄港地も比較的大きな街に違いない。大病院と言わずとも、中規模病院くらいあるだろう。死亡診断書を書くための医師ぐらいいるはずだと思ったが、話を聞くとそれが安易な考えだったとわかった。船舶で人が亡くなった場合、その検死は想像以上に困難になる。日本人医師は、誰もやりたがらないという。「船に乗っている最中に人が亡くなると、その死に関する判断は難しい。亡くなった場所がどこなのか、それさえわからないことがある」と医師はいう。 飛行機に搭乗中に人が亡くなると、機内に遺体を保管しておく場所がなく、かつ飛行機自体を空の上にとどめておくことができないため、遺体は飛行機が着陸した場所で降ろし、検死をするという。 船では、フェリーやタンカーで航海途中、何らかの事故か病気で亡くなり、次の寄港地が日本だという場合や、クルーズ船の次の寄港地が日本という場合もある。多くの場合、次の寄港地が日本であっても遺体を降ろさずそのまま自国へ持って帰る。葬儀会社の担当者によると、漁船では、遺体を冷凍庫に保管することもあり、下船した遺体が冷凍まぐろのようにカチコチに固まってしまっていたということもあるという。この医師が呼ばれるのは、日本に寄港し、船長が遺体の下船を希望したケースだ。日本の医師は外国船籍船内での検死を避けたがる 葬儀会社に聞くと、遺体の確認が船内で行われた後、遺体を下船させ、医師が記入した死亡診断書を葬儀会社が寄港地の役所へ提出するという。遺体で送還する場合、死亡原因を明確に書いたうえで、他国に送還することになる。他国に遺体を送還するには、葬儀会社によってエンバーミングが施されなければならないことが多い。そして大使館や領事館のある都市に遺体を移送し、在日の当該大使館や領事館の担当者によって遺体が確認された後、飛行機で輸送されることになる。 国境を越えて遺体を送還する時に認証が必要になる国が多い。遺体の認証とは、当該大使館や領事館の担当者が遺体の本人確認、死亡事由の確認とともに、送還する遺体をどのように処理して、この棺に納めたのか見届けたので封印しますというものである。国によっては、この認証がなければ受け入れてもらえない。その理由のひとつは、遺体の死亡原因を明確にするためである。死亡原因が未知のウイルスや細菌によるものではなく、送還しても自国の国民に何ら影響を与えないと証明しているのだ。(送還までの流れや必要な書類などは送還先の国によって少しずつ異なる) 死亡診断書がなければ葬儀会社は遺体を動かせないし、エンバーミングを施すこともできない。そのため医師に検死を依頼するのだが、日本の医師は、この外国船籍の船内での検死をひどく嫌がるのだと医師は明かす。「日本の医師には、そのような状況での検死経験がないということもあるが、どのような原因で亡くなったのか、その場で判断するのが難しいことが大きい」と、その理由を説明してくれた。「船舶内での検死は、遺体を見るだけでは判断が困難だ。デッキから下の貯蔵庫に転落し、頭を打って亡くなったと聞かされても、もしかすると船員同士の喧嘩で殴られたかもしれない。突然、倒れて亡くなったと証言されても、船内で何らかのウイルスが発生したのかもしれない」 ウイルスと聞き、2020年2月、横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号での、新型コロナウイルスの集団感染を思い出した。「もっと言えば、先に停泊していたどこかの寄港地で、薬物でも買ってきて大量に使用したためかもしれない。可能性はいくらでも考えられる。なんでもすぐに病死と判断できるわけではない」 神戸に着いたオランダ国籍の船内で遺体の検死をしなければならなかった時、米国人医師は行くことができず、葬儀会社は、他に検死してくれる医師がいないか、あちこちの病院に依頼した。だが、日本人医師は誰ひとりとして受けてくれず、最終的に韓国人医師が検死をしたが、それも渋々だったと話した。「韓国人医師も嫌々しょうがなく受けただけで、時間が押してくるとイライラし始め、ざっと診ただけで済ませてしまったらしい。治外法権の船の中で、亡くなった状況すらよくわからない遺体に時間をかけるより、一刻も早く下船したかったのだろう」と担当者はいう。 最北の街、稚内では、ロシア船籍の漁船でロシア人の船員が亡くなり、稚内の港に寄港した時も受けてくれる日本人医師はいなかったと担当者はこぼしていた。稚内という街は、空港や駅、道路にロシア語の表示があるほど、ロシアとの関係が深い。だが、そのような街でも船内での検死となると話は別らしい。「船内での検死には経験が必要だが、その時の状況や故人の様子を船長などから聞きとれるだけの語学力も必要になる。病院で亡くなる日本人の患者の死しかみていない医師には難しい。でも、誰かが検死しなければ、彼らは母国に帰ることができないからね」と医師は頷いてみせた。 彼は、きっと今日もどこかの港へ向かっているだろう。

コラム

【日本株週間見通し】神経質な展開か マクロ経済や企業業績に対する悪化懸念も
【日本株週間見通し】神経質な展開か マクロ経済や企業業績に対する悪化懸念も
 投資情報会社・フィスコが、株式市場の6月27日~7月1日の動きを振り返りつつ、7月4日~7月8日の相場見通しを解説する。 * * * 先週の日経平均は週間で556.35円安(-2.10%)と反落。節目の26000円も割り込んだ。 週前半6月27、28日は合計500円超上昇し、終値で27000円を回復。6月のミシガン大消費者信頼感指数確定値の長期期待インフレ率が14年ぶりの高水準から下方修正され、インフレがピークに達した兆候が示されたことで投資家心理が改善。年金基金のリバランス(資産配分の再調整)目的の買いによる月末にかけての需給改善期待も寄与した。 しかし、週半ばからは3日続落、合計1100円超も下落し、週末には26000円をも割り込んだ。米6月消費者信頼感指数が予想以上に悪化したことや、個人消費の大幅な引き下げを要因に米1-3月期国内総生産(GDP)の確定値が予想外に下方修正されたことで景気後退懸念が再燃。週末には、米5月個人消費支出(PCE)がインフレ調整後で今年初となるマイナスに落ち込んだことがこうした懸念に拍車をかけた。リスク回避の動きが加速するなか、為替の円高が進んだことも投資家心理を悪化させた。 今週の東京株式市場は神経質な展開か。マクロ経済や企業業績に対する悪化懸念が強まるなか、需給面の下支え要因も乏しく、下値模索の展開に注意したい。 6月の月末にかけての需給改善期待がはく落。一方、7月8日には国内の株価指数に連動するパッシブ型の上場投資信託(ETF)の配当金支払いが集中している。分配金捻出に伴う換金売りで現物株・先物を併せて1兆円程の売りが出ると想定されている。8日には米6月雇用統計が控えており、ただでさえ神経質になりやすい。需給悪化のイベントを見据えて週前半から早くも売りが強まってくる可能性に注意したい。ただ、先週末にかけての大幅下落の背景には、イベントを見越したプレポジションの構築も入っていると推察され、大きな下落には至らない可能性や、8日通過後にはあく抜け感が台頭する可能性もあろう。 それでも、週末の米雇用統計を前に週を通して神経質な展開が予想される。また、投資家の関心がインフレから景気後退へと移るなか、6日には米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する6月非製造業景気指数も予定されており、買いは手控えられよう。 さらに、7月中旬からは日米の4-6月期企業決算の発表が始まる。国内製造業については円安・ドル高を背景に業績の上振れを期待する声も聞かれるが、米国では想定以上に悪い決算を警戒する向きが多いほか、年始から調整の進んでいないアナリストの業績予想について下方修正が相次ぐ可能性が指摘されている。また、国内では結果反映は翌週となるが、週末には製造業決算の先駆けとなる安川電機の第1四半期決算も予定されている。決算シーズンを前に積極的な押し目買いは期待しにくく、大きく下げる場面があっても、反発は見込みにくいと考えられよう。 先週開催された欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は積極的な利上げが経済を減速させるリスクはあるものの、高インフレが持続して消費者のインフレ期待を制御できなくなるリスクの方が大きいと指摘しており、景気よりもインフレ抑制を優先する姿勢を改めて強調した。景気後退懸念が一段と強まるなか、米10年債利回りは6月30日には一時3%を割り込んだ。金利の低下は支援要因にはなるが、7月以降もFRBが0.75ptの大幅利上げを実施する可能性が残るなか、グロース(成長)株を積極的に買うことはまだ難しいだろう。 一方、海運株や商社株など、これまでグロース株が弱い局面でも相場をけん引してきた市況関連株も、6月以降は厳しい売られ方だ。また、歴史的な為替の円安進行が支援要因となってきた自動車関連株も最近は弱さが目立つ。6月30日に一時1ドル=137円台に乗せるなど、円安が一段と進んだにも関わらず、関連株の株価の好反応は乏しく、むしろ、景気後退に伴うグローバルな自動車需要の鈍化を警戒した売りから株価の下落が続いた。けん引役が不在ななか、地合い悪化に連れ安して下げ過ぎたリオープン(経済再開)関連や、金利低下を支援要因に、PERなどの株価バリュエーションが既に大幅に調整済みの中小型グロース株の短期リバウンドなどに妙味がありそうだ。 今週は5日に5月毎月勤労統計調査、米5月製造業受注、6日に日銀「生活意識に関するアンケート調査」の結果、米6月ISM非製造業景気指数、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6月14~15開催分)、7日に6月都心オフィス空室率、5月景気動向指数、米6月ADP雇用統計、米5月貿易収支、8日に5月家計調査、6月景気ウォッチャー調査、米6月雇用統計、米5月消費者信用残高などが発表予定。なお、4日は独立記念日に伴い米市場は休場。