国際情報

北朝鮮・金正日総書記「後継・正恩」で握られた「金玉」情報

北朝鮮・金正日総書記の後継者は「三男・正恩(ジョンウン)」氏とされているが、8月末に金総書記が訪中した際の大きな関心事は正恩氏も同行したか否かだった。結局正恩氏の訪中ははっきりとはしていないが、「可能性はある」と語ったのは韓国国家情報院筋。

「訪中団の中に正恩の姿は確認されていないが、長春では胡錦濤・中国国家主席が金正日とは別に“重要人物”と面会したとの情報を得ている。正恩を後継者としてお披露目した可能性は捨てきれない」

中国側は正恩の同行を否定していると伝えられるが、その説明は「主要随行員のリストに正恩という名前は確認できなかった」という微妙なトーンだ。

金正日の健康不安が囁かれる中、北朝鮮では9月の朝鮮労働党代表者会、10月10日の党創建65周年と大きな行事が控えている。44年ぶりの開催となる代表者会では金正日の義弟・張成沢を中心とした集団指導体制の発足が確実視されており、この新体制が若い正恩をバックアップするとみられている。

着々と進んでいるように見える「3代目への権力移行」。だが、北朝鮮情勢に詳しい李英和・関西大学教授は「もう一波乱起きる」と分析する。

理由は、「正恩の産みの親」を巡る新情報だ。これまで正恩の母は金正日の第3夫人の高英姫(コヨンヒ・故人)とされてきた。しかし、李教授によると、最近になって、正恩の実母は国防委員会課長の肩書きを持つ事実上の第4夫人・金玉(キムオク)であるとの説が強くなっているという。李教授はこう指摘する。

「金玉は金正日が存命のうちに“実子”である正恩の後継体制を確実にしたい。しかし、これまで長男・金正男と近かった張成沢は、できるだけ正恩へのバトンタッチを遅らせて、正男の復活の可能性を残しておきたいとの意向がある。過去、金玉と張成沢は意見の対立を繰り返してきた経緯があるだけに、正恩の扱いをめぐって衝突が起きることも考えられる」

※週刊ポスト2010年9月17日号

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