国内

三橋貴明氏 バブルがデフレの元凶という論理は全くの間違い

 日本では「バブル」は経済失敗の代名詞として否定的な見方がなされている。

 バブル経済の期間には諸説あるが、1980年代半ばから1990年代前半にかけて、日本は実質成長率が最高6%台という高度成長期に次ぐ経済拡大を経験した。日経平均株価は3万9000円に迫り、地価は高騰。日本企業は「強い円」を武器に海外で不動産を買い漁り、サラリーマンの給料が上がって庶民や学生がブランド物を持つようになった。

 しかし、経済学者の多くや大メディアは次のような論理を展開し、バブルを否定する。

「あのとき国民や企業が投機に走ったから膨大な不良債権が残り、日本に長期不況をもたらした」「就職氷河期も高い失業率も、バブルの後遺症だ」

 国民もバブルがデフレの元凶だと刷り込まれている。

 しかし、経済評論家の三橋貴明氏は、そうした「バブル原罪論」をキッパリ否定する。

「バブルとは株や不動産などに対する投資で資産価値がどんどん上がっていく状態だと考えるとわかりやすい。国の富が増えるのだから決して悪いことではないし、資産価値の上昇で消費も活発化し、景気が拡大するという好循環に繋がった。

 しかも、円高で輸入物価が下がったことで、株や不動産が上がっても列島改造ブームのような生活必需品の狂乱物価は起きず、国民にとって物価安定と資産拡大のチャンスという理想的な環境が生まれた。ちなみに高度成長期は消費拡大で経済が成長したので、バブルとはいいません。資産価値を高める原動力は、あくまで投資であり、消費ではありません。

 日本ではバブル崩壊で株や不動産が暴落し、企業や金融機関の破綻が相次ぐなど痛い目にあった人が多いだけに、バブルはもう懲り懲りという意識が強い。しかし、バブルがデフレの元凶という論理は明らかに間違い。現在の不況を解消するために、意図的にバブルを作り、インフレに誘導することは有効な手段です」

※週刊ポスト2011年2月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン