国内

ビジネスホテルに食堂あるのは「ラブホでない」証明のため

 年末年始を観光地や温泉のホテルや旅館でゆっくり過ごした方は少なくないだろう。そんな安らぎの場となる宿泊施設も、実は部屋の構造やトイレ、さらには「朝ご飯」まで規制されているのだ。政策コンサルティングを行う政策工房社長の原英史が解説する。

 * * *
 朝食付きが定番のビジネスホテルは、一応小さな食堂や喫茶店を備えている。客にすれば、都市部なら近くにレストランもコンビニもあるが、食堂なしでその分料金を安く、とはいかない。

 これも規制の結果だ。「旅館業法施行令」では、ホテルや旅館に必要な構造設備について、都道府県の条例で基準追加できることにしている。例えば東京都では、「東京都旅館業法施行条例」によりホテルには食堂が必要と定めている。

 また、地方によっては、食堂義務付け条例がないが、それでもホテルが食堂を設けるケースがある。

 その理由は「ラブホテル扱いされないため」である。

 どういうことか。

「ラブホテル」にあたるとなると、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下「風営法」)によって警察の監督下におかれ、18歳未満は立ち入り禁止など厳格な規制に縛られる。しかし、「風営法施行令」では、食堂とロビーが一定面積以上確保されていれば、ラブホテルとはみなされなかった。

 だから、ビジネスホテルが「ラブホではない」ことを証明するために食堂を設ける。何だか本末転倒ではないか?

 しかも逆に、ラブホテル業者の側から見れば、規制をかいくぐるのは簡単だ。食堂やロビーらしきものを作っておけばよい。当然の帰結として、法令上はビジネスホテルとして営業する「偽装ラブホテル」が増殖し、問題になった。

 警察庁は2010年7月、施行令を改正し、食堂とロビーがあっても、「休憩料金表示」「自動精算機」などがある場合を規制対象に加えた(2011年1月から施行)。しかし、新たな規制に対しても業者は網をすり抜けようとする。イタチごっこが続くことになりそうだ。

※SAPIO2011年1月26日号


関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン