由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
自由に出歩くことが難しい皇族方にとって、御所内で動物たちと触れ合う時間は癒しのひとときだ。しかし別れのときは必ずやってくる。天皇ご一家が家族の一員のようにかわいがっていた愛犬も、このたび虹の橋を渡った。
お別れの日もその翌日も、愛子さまは社会人としての務めを果たされた──。宮内庁は6月26日、天皇ご一家が飼われていた愛犬の由莉が老衰で死んだことを明らかにした。
「16才と4か月でした。息を引き取ったのは23日の夕方頃で、勤務先の日本赤十字社(以下、日赤)から帰宅された愛子さまは、ご両親とともに最期を看取られました。いつも通りに出社された愛子さまでしたが、内心は気が気でなかったようで、足早に職場を後にされたそうです」(宮内庁関係者)
愛子さまにとって愛犬を看取る経験はこれが初めてではない。小学生の頃、先代の飼い犬・まりがその生涯を閉じたときには、翌日、学校に遅刻されたほど気落ちされていた。それから時が経ち、愛子さまは悲しみを抱えながらも、すべきことに向き合われていた。
「どれだけつらくても、仕事を休んだり公務に穴をあけたりはできないとお考えになられたのでしょう。翌24日も日赤に出勤され、午後は皇居・宮殿で開催された茶会に予定通り出席されました。ただ、涙こそ見せなかったものの、表情にはいつものはつらつとした明るさがなかったように見受けられました。愛子さまにとって由莉は16年以上連れ添った“妹”のような存在でしたから、無理もないのかもしれません」(皇室記者)
雑種のメスである由莉が天皇家に迎え入れられたのは2009年春、愛子さまが7才のときだった。
「その年の2月にまりが息を引き取りました。ずっと一緒にいた愛犬との別れは、愛子さまの心にぽっかりと大きな穴をあけ、傍から見ても心配になるほど憔悴されていた。少しでも悲しみが癒えるようにと、まりと似た顔立ちの犬がいないか探されていた両陛下は、かかりつけにしていた動物病院から『当院で保護した子犬はどうか』という打診を受け、引き取ることを決めたそうです」(前出・皇室記者)
愛子さまは生後2か月だったその子犬に「ゆり」と名付け、その後漢字を習うと、「由莉」という字を充て、いまの名前になった。