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1種類しかなかったアルツハイマー治療薬に2種類の新薬登場

 アルツハイマー型認知症の治療薬は、これまで1種しかなかったが、新たに2種類の新薬が保険承認されることになった。軽度から中等度向けの「ガランタミン」は、神経伝達物質アセチルコリンの分解酵素を阻害する。中等度から高度認知症に対する「メマンチン」は、神経細胞の死滅を加速するグルタミン酸の働きを抑制して神経保護を行なう。新薬の承認により治療の選択肢が増える。

 アルツハイマー型認知症は認知症全体の6割を超すといわれる。2010年の患者数は116万人と推計され、高齢化に伴い年々増加している。現在保険承認されている治療薬は塩酸ドネペジル(一般名:アリセプト)1種類だが、今年3月、軽度から中等度認知症向けのガランタミン(同:臭化水素酸ガランタミン)と、中等度から高度認知症向けのメマンチン(同:メマンチン塩酸塩)の2種類の新薬が登場する。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科・物忘れ外来の田平武教授に話を聞いた。

「ガランタミンは神経伝達物質アセチルコリンの分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害します。アルツハイマー型認知症では脳内のアセチルコリンが減ることがわかっており、この薬は分解による減少を抑制するために開発された薬です。作用機序(薬物が生体に作用を現わす仕組み)は、既に承認されているアリセプトと同じです」

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2011年3月4日号

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