国内

震災後にペットボトル飲料、納豆、牛乳が品薄になった理由

 東日本大震災発生直後に起きた首都圏の生活必需品不足は、2か月後の現在では多くの地域で解消されている。しかし、ものづくりの現場ではいまだに部品・材料不足に悩まされている企業は多い。生活必需品の供給不足はまず食品に現われた。その多くが容器や資材の不足が原因だった。
 
 牛乳の品薄は国内3割のシェアを誇る飲料用紙パック製造大手「日本紙パック」の埼玉・茨城の3工場が一時停止したことが影響した。納豆の品薄も、パックを包むフィルムや納豆の上に直接被せるフィルムの不足から生じた。茨城県神栖市の石油化学コンビナートが被災し、エチレンなどの原料が調達しにくくなったのだ。
 
 放射能汚染による水道水への不安が広がる中、飲料の不足が深刻化したが、これも容器であるペットボトルのキャップの生産が工場の被災で滞り、品薄につながった。キャップの国内製造拠点は、日本クラウンコルク、CSIジャパン、日本山村硝子の3社5工場のみ。
 
 約4割を担う日本クラウンコルクの石岡工場と日本山村硝子の宇都宮工場が稼働停止になり、ペットボトル自体の供給不安が広がった。そこで全国清涼飲料工業会は4月13日、清涼飲料業界として白無地キャップに統一することを決めた。これで200~300種類あったキャップが10分の1程度に減少し、4月下旬には供給不足が緩和された。
 
 ラベル不足で飲料水の供給が滞る懸念も生じた。食品衛生法によると、加工食品は保存方法や製造者名を商品に表示するのが原則だからだ。しかし消費者庁は被災地向けに限ってラベルのないペットボトル飲料水の出荷を認め、メーカーは増産が可能となった。

※週刊ポスト2011年5月27日号

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