日本では脱原発の議論が高まっているが、それにはコストの議論が不可欠だ。原発のコストをどう考えるべきか、経済学者、池田信夫氏の意見を紹介する。
* * *
原発アレルギーとも言うべき声が高まっているが、全国54基の原発を止めると、無駄な廃棄物だけが残る。
廃棄物処理や事故の補償費を考えれば「低コスト」とは必ずしも言えないが、一方で原発は固定費がほとんどで、燃料費は微々たるものであることも事実。止めれば単なる「高コストの無用の長物」になってしまう。
今後、日本経済が苦しくなっていく中で、廃棄物の維持費だけで毎年何兆円もかかるような非生産的な巨大プラントを維持するのは、現実的な選択ではなく、現在動いているものは当面は動かして、その間にエネルギー政策を考え直すべきだ。
※SAPIO2011年6月15日号