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降格から泣き落としまで、企業が行なう退職金減額4パターン

老後の暮らしの糧として退職金をあてにしているサラリーマンは多いだろうが、近年企業が様々な方法で「退職金減らし」を行なうケースが増えている。企業が行う代表的な手口を4つ紹介しよう。

【1】「手当の増額と引き換えに基本給を減額」
経営陣から基本給の減額を提案された定年間際のAさん。ただし、職務手当が増額され、手取り額は増えるという説明があったために同意した。ところが、この会社は退職時基本給をベースとする基本給連動方式のため、退職金が約400万円も減ってしまった。

【2】「定年間際の降格」
先頃定年を迎えたBさんは、1年前に閑職に異動。「残務整理もあるから楽な仕事にする」という説明に同意したが、退職金制度は「テーブル方式」(「勤続年数ごとの基準額」に「退職時の役職(テーブル)に応じた係数」を掛ける仕組み)。部長から係長待遇になったことで役職係数が3 割近く下がり、受け取った退職金額を見てCさんは「降格を受け入れなければ……」と後悔するが後の祭りだった。

【3】「泣き落とし」
中小企業に勤めるDさんは、退職前に社長から「この不況では満額の退職金を支払うと、現役社員の給料を支払えない」と泣きつかれた。古典的な手口であるが、中小企業では決して珍しくない事例だ。

【4】「再雇用をエサに強要」
定年直前のEさんは、定年後の再雇用を会社に相談したところ、「再雇用は退職金の減額受け入れが条件」といわれた。が、計算してみると65歳までの5年間の報酬と退職金減額分はほぼ同額。つまり、タダ働きを求められたわけだ。

社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの北村庄吾氏はこうアドバイスする。

「退職金規程の改定時は、不利益が潜んでいないかをよく確認してください。減額の程度や引き下げの必要性、労働組合や社員に十分説明しているかなどによって、不利益変更かどうかが判定されるので、会社の説明会などにはきちんと参加して理解し、記録や資料を残しておくことが重要。多くのサラリーマンは就業規則に関心を持っていませんが、それでは会社に“騙してください”といっているも同然なのです」

※週刊ポスト2011年8月19・26日号

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