国際情報

韓国芸能人の独島領土発言 国家的韓流文化推進の足引っ張る

 年々増え続ける日本の韓流ファン。最近では“イケメン俳優”だけでなく、K-POPの男女アイドルグループも次々と日本に上陸、日本人ファンを魅了している。しかし、こうした韓流芸能人が実は韓国内では「反日」を叫んでいるとしたらどうだろう。知られざる韓流芸能人の「独島(竹島の韓国での呼称)パフォーマンス」の実態を韓国在住ジャーナリストの竹嶋渉氏がレポートする。
 * * *
 2005年2月、韓国駐在日本大使の「竹島は日本の領土」という発言が問題となり、韓国ですさまじい反日運動が起こった。その時、すでにブームになっていた韓流芸能人の独島認識に関心が集まったのだ。

 当時、独島問題が連日連夜マスコミに大きく取り上げられ、日本に対する糾弾集会やデモが盛んになると、黙っていてはまずいと思ったのか、この機会を利用して自分が愛国者であることをアピールして人気上昇を図ろうという下心なのか、それとも純真無垢な愛国心の発露なのか、独島とまったく縁もゆかりもない芸能人が盛んに独島関連発言やパフォーマンスをするようになった。

 それを報じるマスコミも独島とはまったく関係のない場で独島に関する質問をぶつけ、芸能人の愛国心をテストしようとする傾向が見られるようになった。

 2005年3月、女優のハン・ヘジンが自分のドラマ出演料の一部を独島守備隊に寄付することを明らかにし、独島問題に関して「日本で活動するのは気が重い」などと発言。

 同じ頃、俳優、イ・ジョンジンは映画『マバド』(内容はこれも独島とは無関係)の試写会における記者会見で「独島は韓国の土地ということは当たり前の事実」「日本はとんでもない」などと語った。

 また、この映画に出演した女優キム・ウルドンとその息子ソン・イルグク(俳優)らも「独島を守り抜こう」と発言、「独島守護」を目的とした募金活動などを行なっている。

 4月にはキム・テヒとイ・ワンの姉弟が韓国のスイス親善大使としてチューリヒなどを訪問、独島が韓国の領土であることを知らせるためのTシャツや「独島は我が領土」のCDを配布すると報じられた。

 また俳優、キム・レウォンは独島守護のためのサイン会などを開催し、「独島探訪団」という団体を率いて独島を訪問する計画を明らかにしている。

 ただし、当時はこうした芸能人の独島関連の言動が日本国内で大きく問題とされることはなかった。日本人の竹島に対する関心の低さゆえである。それを十分計算に入れて「日本での活動を放棄する覚悟」で発言する強硬派も現われた。

 2008年7月、女優、ク・ヘソンが国内マスコミのインタビューに答える形で独島は韓国領土であると主張した後、「日本政府の意図がまったくわからない」と日本政府の姿勢を批判した。「このような考えが今後の日本での活動の障害となるのなら、敢えて活動を中止する」とまで述べている。ク・ヘソンの知名度が日本では低いため、当然この発言が芸能活動の障害になることもなかった。

 このころ、日本での韓流は映画、ドラマからK-POPへとその中心が移りつつあった。その最中、アイドルグループ「少女時代」が「独島は我が領土」を歌うという珍事が起こった。

 これは2008年6月にソウルのオリンピックメイン競技場で行なわれたドリームコンサートのリハーサルの出来事で、本番では歌われなかった。ところが、このリハーサルの模様が動画投稿サイトに投稿され、日本国内でネットを中心に韓流芸能人の独島関連言動を批判する声が高まった。

 今年に至っては、こうした言動をまったく報じないまま韓流芸能人を出演させているテレビ局に対するデモまで発生するにおよび、ようやく韓国人も独島関連言動が日本における芸能活動の障害になってきたことを認識しはじめたようである。

 国内では称賛の対象であり、人気獲得の手段となっている独島関連言動が、国外では反感と指弾の対象となり、韓国が国家規模で推進している「文化コンテンツ事業」の足を引っ張る結果となっていることは皮肉な限りである。

※SAPIO2011年10月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン