国内

財務省 菅氏に「普天間で鳩山躓くので関わるな」と忠告した

「最強官庁」ともいわれる財務省。だが、国家の予算を握っていることだけが最強官庁・財務省の権力の源泉ではない。むしろ、この役所の情報収集力と組織の結束の強さこそ、官僚主導政治を根付かせてきた秘密だろう。「政治主導」を掲げて政権交代を果たした民主党政権の3人の総理大臣が、次々に財務官僚に籠絡されていった軌跡はそのことを浮かび上がらせる。

2010年1月に当時の菅直人副総理が財務大臣に横滑りすると、財務官僚は菅氏を取り込みにかかった。

菅氏を本来嫌っていたはずの財務官僚たちが、その頃からすでに「次は菅政権」と吹聴し始めた。さらには菅氏に対し、鳩山政権を窮地に立たせていた普天間基地の県外移転問題についてアドバイスまで行なっていたという。

菅氏側近が振り返る。

「とにかく財務省の情報能力はすごい。『普天間問題は鳩山政権の命取りになるから、大臣は決して関わってはいけない。待っていれば海路の日和がある』と菅さんに忠告し、日米交渉はその通りになっていった。現実主義者の菅さんは、財務省を敵にするより頼りにした方がいいと判断した」

実際には、普天間基地をめぐる日米交渉は、外務省や防衛省が裏に回って鳩山方針をつぶしにかかっていたわけだから、“霞が関の盟主”である財務省には鳩山政権の命運が手に取るように見えていたのは当然だった。

「財務省を味方にすれば総理になれる」という神話が、すでに民主党には植え付けられている。仙谷由人氏をはじめ、玄葉光一郎氏、枝野幸男氏、安住淳氏らが財務省の与党となり、「マニフェスト撤回」に動いてきたのも、二匹目のドジョウを狙っているからだ。

財務官僚にとって、未熟な民主党の政治家を動かすのは簡単だ。近づいてくる政治家に増税は必要だといわせ、「あの大臣はすごい」「首相候補だ」とメディア工作で評判を上げれば、その気になって忠誠に励む。

※週刊ポスト2011年10月7日号

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト