国内

中学授業時間 3年で公立は3045時間、私立一貫校は3800時間

少子化が進む中にもかかわらず中高一貫校の受験者数が増え続けている。10年前には首都圏での受験率は10%台前半だったが、2008年には20%台に到達した。2005年には富山県で私立片山学園が開校し(高校は08年)、47都道府県すべてに一貫校が誕生した。

人気の理由は、中高一貫校に「我が子の学力を伸ばしてくれる」という評価が定着しているからだろう。入試実績をはじめとする教育情報の調査・提供に45年の歴史を持つ「大学通信」の大野香代子・編集長が語る。

「最大のメリットは、高校受験による授業の空白期間がないため、中学と高校で授業内容が重複せず、効率的にカリキュラムを組めることにあります。特に私立一貫校の場合は学習指導要領による制約はあるものの、中1~高2の5年間で6年分の授業内容を終わらせ、高3では大学受験に特化した教育を行なっている学校が多い。それが大学合格実績の高さに繋がっています」

最も差が出るのが中学時代である。先取り教育を行なう私立一貫校と公立で、3年間の総授業時間を比べると一目瞭然だ。関東・関西圏の大規模な私立一貫校では3800時間以上であるのに対して、公立では3045時間(来年度以降の「新学習指導要領」による)となっている。

例えば神奈川の桐蔭学園では総授業時間数は3870時間。うち、英語の総授業時間数は630時間と、公立高校の420時間に対して1.5倍、数学の総授業時間数も630時間で公立高校の385時間の1.6倍以上だ。大阪府の清風高校は総授業時間数3834時間。英語は723時間と公立高校の1.7倍、数学は686時間で1.8倍弱もの差がついている。

最難関とされる東大合格者数の推移を例に挙げると、1990年以降は私立一貫校が公立校を大きく上回っている。1999年からは公立一貫校が相次いで新設されたことで「公立復権」の兆しが見え始めたものの、依然として「私立一貫校は受験に強い」という評価は揺らいでいない。

保護者が重視するのはまさにその点だ。「大学通信」のアンケート調査によれば、中学・高校に求めるものは圧倒的に「大学合格実績」となっている。中学受験では志望校を親が選ぶケースが大半なだけに、それが一貫校人気に結びついているといえそうだ。

※週刊ポスト2011年11月4日号

関連キーワード

トピックス

石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《24歳の誕生日写真公開》愛子さま、ラオス訪問の準備進めるお姿 ハイネックにVネックを合わせて顔まわりをすっきりした印象に
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン