国内

清武氏に桃井球団社長「切るなんてできない」と談笑していた

プロ野球巨人軍のコーチ人事をめぐりナベツネこと渡辺恒雄・読売巨人軍取締役会長(読売新聞グループ本社会長兼主筆)を公然と批判した清武英利・読売巨人軍専務取締役球団代表が、11月18日、ついに解任された。読売グループ内にもメディア内にも味方がなく四面楚歌に見えた清武氏だが、実際には奇妙な光景も目撃されていた。

解任されるまでは普段通り球団本社に出勤し、「クーデターに賛同しながらハシゴを外した」と見られている桃井恒和・代表取締役オーナー兼社長との間で、

清武「私を切らないの?」
桃井「そんなことできませんよ」

と談笑する姿があった。選手やコーチからも激励の声が多く聞かれ、読売新聞のデスクも「多くの記者がよく物申したと快哉を叫んでいる」と明かす。「清武事件」は、ナベツネ支配の内憂外患を白日の下に晒した意味で重大だ。

清武氏は、渡辺氏が「不当な鶴の一声」で、一度は同意していたコーチ人事をひっくり返したことを球団私物化だと批判し、コンプライアンス上、重大な問題であると訴えた。

渡辺氏は「元オーナー」ではあっても、今は代表権のない会長で、簡単にいえば「ヒラ取締役」にすぎない。それが社長や専務に無断で幹部人事を決めようとしたのだから、少なくとも社内秩序を乱す非があったことは明らかだ。

それなのに清武「専務」を公開文書で堂々と「君付け」で呼び、「今後は彼の反省次第」などと威張ってみせるのは、この組織が独裁統治であることを世間に広く公言したことになる。

原辰徳・監督の行動も独裁の証拠だ。原氏はこの間、桃井社長、清武専務の頭越しに渡辺氏に「江川卓ヘッドコーチ」の人事案を根回ししていた。どこの世界に、部長が社長、専務の意を無視してヒラ取と人事を相談する企業があるのか。

実はこの構造にこそ、「ナベツネ帝国」の秘密が隠されている。ジャーナリストの藤本順一氏が指摘する。

「東京、大阪、西部の3本社や球団に分かれていた読売新聞グループは、2002年にグループ本社を中心とする持ち株会社制に移行した。この意味は、渡辺氏が持ち株会社の代表取締役会長に就任してグループを上から支配しつつ、個々の経営が失敗しても、各社長のクビをすげ替えれば自身が責任を負わなくてすむという点にあったのです」

※週刊ポスト2011年12月2日号

関連記事

トピックス

羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
「礼を尽くさないと」いなば食品の社長は入社辞退者に“謝罪行脚”、担当者が明かした「怪文書リリース」が生まれた背景
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン