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2011.12.09 07:00  週刊ポスト

死海 30分浮遊すると高塩分濃度のため高浸透圧性脱水に陥る

白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によると、「死海の藻」のパワーは、放射線障害から動脈硬化まで効くという。

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死海はアラビア半島北西部に位置する塩湖で、西側をイスラエル、東側をヨルダンに接している。湖面の海抜はマイナス418メートルと地表で最も低く、死海の湖水が流れ込む先はない。そのため塩分濃度は上昇の一途をたどり、今では35%と湖水の高塩分濃度は生物が生息できないレベルに達することから、死海と呼ばれている。

体が沈まず、プカプカ浮かぶ浮遊体験が楽しめるのもこの高塩分濃度のおかげだが、30分も浮遊体験をしていると高塩分濃度のために高浸透圧性脱水に陥ってしまう。

イスラエルのワイツマン基礎科学研究所は、死海の湖水の一部がオレンジ色に変化していることに注目し、死海に生息できる藻を発見した。調べてみると、この藻はドナリエラ・バーダウィルという種類の微細藻類だった。

興味深いことに、ドナリエラは緑藻類の仲間であるが、太陽光と高塩分濃度の環境下で、β-カロテン等のカロテノイドが細胞に蓄積されオレンジ色を呈することがわかった。さらにこのβ-カロテンを分析すると、半分はニンジンと同系列の色素成分で、残りの半分は9-cisβ-カロテンというβ-カロテンの異性体の一つだったのである。

日健総本社の故田中美穂社長はドナリエラの可能性に注目、質の高い天然型β-カロテンを管理培養生産することに成功した。その後も、ドナリエラ・バーダウィルに含まれる9-cisβ-カロテンには、放射線保護作用だけでなく、網膜色素変性症に対する治療効能や糖尿病や動脈硬化症に対する進行抑制作用などが報告され、死海の中で生きる生命力に限りないパワーが秘められていることが明らかになった。放射線汚染が広がりつつある日本でも、死海のパワーがこれから役に立ちそうだ。

※週刊ポスト2011年12月16日号

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