ライフ

木の実ナナ 更年期うつ病でバス見ただけでイラついたことも

子育て、仕事、更年期、老後の不安…。年を重ねるにつれ、女性の悩みは尽きない。女優、歌手として生き生きと活躍する木の実ナナ(65)も、悩みを抱えていたひとりだ。更年期うつ病を告白した木の実が、病を乗り越えたきっかけについて語る。

* * *
私が“更年期うつ病”だと診断されたのは、46才のときです。体調が悪くなったのは、その1、2年前からでした。もともと明るさが取り柄の私でしょ。それ以前なら、他人がしょぼんとしているのを見ると、“どうしたの、元気出して”と声をかけずにいられなかった。自分も含めてみんなが笑顔でいなきゃ嫌だったんです。

そんな私が、嫌なことばかり思い出してしまうようになったんです。小さいころに顔が外国人みたいだからといじめられて、同級生に傘で顔に傷をつけられたこと。忘れたはずの嫌なことが、次々と思い出されて、それが頭から離れない。大好きで集めていたミッキーマウスのぬいぐるみまで、いい大人がなんでこんなもん持っているんだろうかとか、自分を卑下してしまう。自分を嫌になったのなんて、初めてでした。朝、鏡を見て“わあ、ひどい顔だな”とか思ってしまって…。

すべてのことにイライラして、走っているバスを見ただけで“なんであのバス、ここを走っているんだ”とまで思ってしまう。そのうちに動悸がして、のぼせてきて、汗でびっしょりになっているんです。ミュージカルの女王といわれ、仕事は順調だった木の実。苦しみのわけがわからず病院を訪ねると、自律神経失調症と診断された。薬を出してもらったが、薬の服用は食欲も奪った。

好きだったお酒も飲めなくなり、すべてが嫌になりました。突然、自分の人生が灰色の世界になってしまったんです。それでも、仕事の場ではつくり笑いの連続で、ストレスは溜まる一方。トイレに行って、わーっと叫んだり、壁を叩いて発散していました。

仕事で長期滞在していたホテルの部屋で、ボロボロ涙を流しながら、死ぬことばかり考えていたこともありました。大好きな母の存在さえ重荷に感じるようになりました。

そんなとき、たまたまファンの中に心療内科の医師がいて、木の実の様子の変化に気づいてくれたのだという。

わらをもすがる気持ちで相談したら、すぐに彼と、同じく医師である彼のお母様が滞在先のホテルまで来てくれて、私が泣きながら話すのを聞いてくださったんです。“ナナちゃん、それ更年期やわ、うつや。でも、何にも心配あらへんで。いいお薬調合してあげる。それのんだら、またいいナナちゃんに戻れるから”って。それですごく楽になって、ひと山乗り越えられたなあと思いました。

※女性セブン2012年1月5・12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン