ライフ

被災地の両陛下「自分達が履く訳には・・・」とスリッパ脱がれる

 東日本大震災以来、天皇、皇后両陛下は幾度も被災地にお見舞いに向かわれた。今あらためて被災した東北3県を取材し、お見舞いの際に両陛下と被災者の間に生まれた心温まる秘話を再現する。

 東北3県のうち最初のお見舞い先は4月27日の宮城県。両陛下が同県で最初に視察された被災地、南三陸町の町長・佐藤仁氏(60歳)が振り返る。

「両陛下は町立伊里前小学校の校庭に自衛隊ヘリで降りられ、被災した市街地を校庭の隅から視察されました。学校は高台にあり、校庭の先は崖になっているため、安全を考えて校庭の隅にある花壇の手前に立っていただく予定にしていたのですが、両陛下は崖のすぐ近くまで歩み寄られ、じっと眼下の市街地を見ておられました」

 両陛下は市街地に向かって黙祷を捧げ、佐藤町長から被災状況などについて説明を受けられると、被災者が待つ町立歌津中学校の体育館を訪ねられた。同行した佐藤町長はそこで両陛下の心遣いの深さを目の当たりにする。

「私が先に体育館に入り、両陛下をお迎えしました。実は当時はまだ物が不足していて、スリッパも用意できたのは両陛下に履いていただく2足分だけで、私はスリッパを履いていませんでした。すると、それを見られた皇后陛下が、いったん履かれたスリッパを脱がれたのです。さらに天皇陛下までがスリッパを脱ごうとなさった。それで皆で慌ててお止め申し上げたのですが、他の誰も履いていないのに、自分たちだけ履くわけにいかない、というお心遣いだったのでしょう」

 ※SAPIO2012年2月22日号

関連記事

トピックス

今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
「歴代でいちばん好きな“木村拓哉が演じた職業”」ランキング ファン、ドラマウォッチャーが選ぶ1位は『HERO』の「検事」
「歴代でいちばん好きな“木村拓哉が演じた職業”」ランキング ファン、ドラマウォッチャーが選ぶ1位は『HERO』の「検事」
女性セブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン