ライフ

鉱山への投資話に弁護士 「まともなことではない」「山師」

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「鉱山採掘への投資を申し込んでみようと思うのですが」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 鉱山への投資を勧めるパンフレットが届きました。採掘権を買えば利益が大きいということなので、申し込んでみようと思うのですが、「怪しいからやめたほうがいい」という人もいて迷っています。このような投資を考える場合に大事なことがあれば、アドバイスをください。

【回答】
 まず、鉱山採掘権販売は、まともなことではないと思います。採掘権とは、一定の鉱物を採鉱して取得する権利です。国から付与され、鉱業原簿に登録される権利であり、譲渡も可能ですから、権利を小口に分けて分譲することもあり得ないことではありません。

 しかし、鉱山の経営は莫大な経費がかかることであり、一般消費者から集めたお金程度で実施できる事業ではありません。十分な調査と試掘などにより鉱物の実証が前提となり、その上で大がかりな設備も必要です。膨大な資金を必要とするため、銀行や鉱物に関連する大企業が投融資して開始できる事業です。従って今回の話は危ない儲け話です。ひと山当てようと探鉱する人を山師といいますが、その典型のような話です。

 法的にいえば、鉱山事業への投資には、いろいろな形態があります。広く消費者から資金集めをするとすれば、事業を行なう会社の株式を発行し、株主を募集して払い込みを受ける方法や、社債を発行して借り入れをすることが考えられます。

 いずれも一定の規模以上の募集は、誰でもできるというわけではなく、金融商品取引法により、金融取引業の登録をした業者や、同法の認める銀行などの業者でなくては扱えません。

 また、勧誘する担当者は、外務員登録を受けていることが必要です。さらに、仮に資格があっても、扱っている商品が信用できるとは限りません。勧誘する権利の種類と内容、さらに投資する相手の信用性については、注意する必要があります。納得できないときはすぐに契約を決断せず、家族や友人などとも相談してからにすべきです。

 株式などの金融商品の取引には、クーリングオフが適用されません。一旦契約すると解約が簡単ではないので、慎重にしてください。

※週刊ポスト2012年3月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン