国内

宮城県知事 瓦礫の受け入れ拒否に「粘り強く説得していく」

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県。その「指揮官」である村井嘉浩知事の奮闘ぶりは各メディアからも多数報じられた。同誌は現在何を考えているのか。

――震災からの1年を振り返って、最も苦しかった時は?

「震災直後、燃料問題に直面した時でした。病院の自家発電が止まり、ガソリンがなくて緊急車両も動けず、避難所では灯油も底をついた。私にかかってくる電話の大部分が燃料についてのものでしたが、輸送ルートが確保できなかった。

 その中で、佐藤昭塩竈市長から、塩釜港の瓦礫を撤去すればタンカーが入れる、と連絡をもらった。すぐに海保に連絡して現場の瓦礫の調査を依頼、並行して航路の妨げを撤去するバージ船を手配し、3月27日に大型タンカーがなんとか入港できました」

――復興はどこまで進んだと考えているか。

「これからがスタートです。今の議会で街づくりの計画などを議決して、4月から開始していく。宮城県では(復興に向け、震災発生時から)10年計画を立てている。あと9年で、3.11以前よりも元気な宮城をつくります。その土台作りの今後2~3年が、最も大切な時期」

――しかし、瓦礫の処理ひとつ取っても、放射能問題で受け入れを拒否する自治体が続出している。

「瓦礫の処理には2年を見積もっていますが、今のように受け入れ拒否が続けばそれ以上かかってしまう。いくら客観的なデータを示しても、放射能に関してヒステリックな人がいるのです。思想的な問題もあって非常に難しい。引き続き粘り強く説得していく一方で、できるだけ県内でも(処理できるよう)努力していきます」

――これからの1年で、知事として最も重要な課題とは。

「雇用の回復です。企業誘致に加え、沿岸部の水産業や農業を立て直す。いつまでも国のカネで食うのではなく、自分で稼いだカネで食べていく。かわいそうだからと、カネを撒いてもらっていてはダメなんです。県民が自ら立ち上がれるようにしていかないと」

 そして村井氏は、こうも続けた。

「結果的に、あの震災で宮城が元気になったと言ってもらえるようにしたい。それができなければ、犠牲になった1万1000人の方々に申し訳ありません」

※SAPIO2012年4月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン