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年収1億円の元主婦 袖のすりきれた割烹着を「まだ着られる」

 そりゃあ生まれた時から金持ちの人もいるが、お金がないところから財産を築いた人だって少なくない。専業主婦から年収1億円の不動産会社社長になった埼玉県の鈴木ゆり子さんは、まさにそんなひとりだ。

 もともと専業主婦だった鈴木さん。そのころは1女2男を育てながら、節約と内職に励んで25年の住宅ローンを7年で返済。少しでも所得の足しにしたいとアパートも建てた。

「結婚してから一度も赤字になったことがないし、お父ちゃんのボーナスを使ったこともない。お金はあると思えば使ってしまうけど、ないと思えば貯められるものです」

 末っ子が高校を卒業した48才のとき、新聞求人で見つけたハウスクリーニングの仕事が鈴木さんの転機となった。古いアパートでも手入れ次第で人気物件に生まれ変わることがわかり、賃貸物件の管理に乗り出したのだ。数年で200室以上を所有する大家さんになり、2007年には埼玉県の羽生駅前に不動産の賃貸・売買・仲介・管理を行う「スズヨシ」を構えた。

「購入した競売物件を片付けに行くと、高級腕時計が次々と出てきたり、一部屋に両手一杯もの小銭が落ちていて驚きます。家主の多くは裕福だったはずなのに、どうして普通の生活をしなかったんだろう、小さなお金も粗末にせずに貯めておけば破産しなかっただろうにと思います。お金はさびしがり屋だから、大事に使わないと逃げていくものなのにね」

 朝5時半に起きて家事をすませ、9時に店を開ける。賃貸物件の草取りに出掛けるなど、鈴木さんはとにかくよく働く。「もうそろそろ新しいのに替えたら」と笑われる割烹着は、袖のすりきれた部分を切って繕う。「袖は短くなるけど、まだ着られますから」と鈴木さん。タオルはお客様用にしてから家人用にし、台拭きを経て最後に床を拭く雑巾に。スーパーで買ったねぎは根元を残し、それを店裏に植えて育てている。

 ものを無駄にせず、最後まで使いきることで鈴木さんは家計を助け、お金を貯めてきた。現在それを元手とした不動産業が大きく花開いている。

※女性セブン2012年5月10・17日号

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