ライフ

88才料理研究家が伝授するだしのとり方 鍋の蓋するのはNG

 料理教室の生徒を多数かかえ、テレビや雑誌に引っ張りだこの“登紀子ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さん(88才)。そんな鈴木さんが、ついつい敬遠しがちな“だし”の取り方についてについて教えてくれた。

 * * *
 分量は4人分として、水4カップ、10cm角ほどの昆布1枚(厚手で幅広の出汁昆布をご用意ください。おでん昆布、早煮昆布ではうまみが出ず、おいしくできません)、それから手を大きく開いて削り節をたっぷりひとつかみ。

 まず、乾いた布巾で昆布を拭いて汚れを落とします。それを鍋に入れて水を加え、中火にかけます。昆布がゆらりと動き、お湯がくつくつとし始めたら、湯気のにおいを嗅いでみます。ふわりと上品な甘さを感じたらいい具合ですよ。すぐに昆布は取り出してください。

 次に、削り節をむんずとつかんで、パッと鍋の中に放ちます。弱火で2~3分くつくつとさせ火を止めます。

 表面に浮いた灰汁をていねいにすくい取り、削り節が鍋の底に沈むまでおきます。薄かった色がだんだん澄んだ琥珀色になり、鰹節のいい香りが広がったら、固く絞った濡れ布巾を敷いた万能こし器で静かにこします。一番出汁の完成です。

 気をつけていただきたいのは、鍋の蓋をしないことと、ぐらぐら煮立てないこと。昆布も削り節も煮立てて味を「引き出す」のではなく、適度な温度でうまみをじわりと「抽出する」ことが肝要なのです。お煎茶をいれるときは、お湯をある程度冷ましてからいれますわね。そのほうが味も香りも引き立つからですが、お出汁も同じです。

 このお出汁でおすましや煮ものをつくってごらんなさい。それはもう上品で、ご自分を褒めちぎりたくなる味に仕上がりますから。その味、香りを、舌と鼻に覚えさせてしまうことです。

 また、煮立った湯にガーゼで包んだ鰹の削り節だけを入れて中火で静かに煮立てるだけでもおいしいお出汁がとれます。日常的なおみそ汁や煮ものには、これで充分。ただし、削り節をケチってはいけませんよ。

※女性セブン2012年6月14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン