国内

菊地直子が着ていた服 問い合わせ殺到の心理を女性作家考察

 逮捕された菊地直子容疑者が着ていたトレーナーからは、はっきりとブランド名が読み取れた。毎月1枚ずつ、違ったデザインが届けられる通販シリーズ。そして、その通販会社には問い合わせが相次ぎ、同社は困惑しているという。元オウムの容疑者が着ていた服を欲しい、ということ? その心理を作家で『五感のチカラ』著者である山下柚実氏が考察する。
 
 * * *
 元オウムの菊地直子容疑者が逮捕されたというニュースが、波紋を広げています。何と言っても驚いたのは、「別人」としか思えない容姿の激変ぶり。公開捜査のねらいなのか、「全身写真」の発表にも驚かされました。

「菊地容疑者が着ているトレーナー」は、はっきりと「SUNNY CLOUDS」の文字が読みとれる。買ったことがある人なら、すぐわかる。毎月1 枚ずつ、デザインを変えたものが届けられる、フェリシモの通販シリーズです。

 何を隠そう、私もかつて「SUNNY CLOUDS」シリーズを注文したことがある一人。自分が注文した商品の「雰囲気」「テイスト」だけはわかっても、毎月、実際にどんなデザイン・色の服が届くのかは、おまかせ。

 届くモノがわからないからこそ面白い、一ひねりある通販システムでした。自分がお金を払っているのに、まるで「プレゼントが届く」ようなワクワク感、楽しさがありました。

 菊地容疑者も、緊迫した逃亡生活の中で、ささやかな「ワクワク感」を味わっていたのでしょうか? もちろん自分で注文したのではなく、どこかで古着として買った可能性もありますが……。

 さらに驚かされたこと。それは、「ブランド名がはっきり読み取れることから、兵庫県神戸市の衣料通信販売会社には問い合わせが相次ぎ、同社は困惑している」(「スポーツ報知」6月6日)という報道です。

 問い合わせをして、いったいどうするのでしょう? 元オウムの容疑者が着ていた服を欲しい、ということ? 重大犯罪に関与したとされる容疑者と同じ服を着たいの……? 「問い合わせが殺到した」ことの意味が、私にはなかなか理解できませんでした。

「犯罪を犯して逃げている容疑者の…」というコンテクスト(文脈)はまったく無視して、「SUNNY CLOUDS」のトレーナーだけが注目されているという、実に不思議な現象です。 

 世の中で話題になっているものにはとにかくアクセスしたい。何でもいいから、注目されているものを手に入れたい。犯罪に関係していようがいまいが、前後の文脈と無関係に、目立つ出来事やモノにアクセスし、出来事に「参加する」感覚を得たい……。「祭り」に参加するように? いわば、「主人公願望」をかなえたいという思考回路でしょうか。
 
  「世界一高い」と聞いて殺到する。「次は300年後にしか見られない」で熱狂する。「自分が応援しなきゃこの娘はダメだ」と思い込んで投票する。

 話題の出来事にすばやくアクセスし、物語に「参加しなければ」という思考回路が、想像以上に深く広範に根を張っているのでしょうか。どれくらいの多くの人々の中に浸透しているのか、私には見当がつきませんが。


関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン