ライフ

「性介護」NPO 女性向けサービスないのはニーズがないため

 障害者への射精介助を行う非営利組織・ホワイトハンズは現在、全国18都道府県でケアサービスを提供している。代表・坂爪真吾氏のもとには、多くの提案や批判が寄せられている。その中でも最も多いのが「女性障害者向けのケアはやらないのですか?」というもの。坂爪氏が新刊『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』(小学館101新書)の中でその問いに答えている。

 * * *
 ホワイトハンズに寄せられる提案や外在的批判の中で最も多いものが、「女性障害者向けのケアはやらないのですか?」というものです。中には、鬼の首を取ったかのごとく、「ホワイトハンズは、女性のケアをしていない! これは、女性障害者への重大な差別だ!」と、したり顔で騒ぎ立てる人もいます。

 ホワイトハンズでも、女性向けの性機能ケアサービスを開発するために、サービス開始以来、女性のケアモニターの募集を、継続的に行っています。しかし、女性障害者からの応募はほぼ皆無で、問い合わせ自体も、4年間で数えるほどしか来ていない、というのが現状です。

「射精」という分かりやすい基準のある男性とは異なり、「何を、どこまで、どのように行えば、それはケアといえるのか」という問題があります。

「性機能の健康管理」という観点からは、陰部周辺のマッサージを通して、膣分泌液の分泌を促す、という形になると思います。しかし、女性の場合は、仮に手足が不自由な場合でも、他人の手を借りずに(温水洗浄便座を使用する、ベッドにこすり付ける、太腿を重ねて陰部周辺を圧迫する等)自慰行為をすることができたり、男性の射精のように後始末に手間がかからない場合もあるので、わざわざお金を払って、恥ずかしさを我慢してまで、見ず知らずの他人に介助を依頼する必要がない、とも考えられます。

 そして、一番の問題は、「当事者である女性障害者からのニーズやリクエストが全く出てこないので、ケアの内容や基準を設定しようがない」ということです。

「当事者の声がない」ということは、「声を出せないほど苦しみが大きい」と解釈することもできますが、反対に、「当事者は特に苦しんでおらず、周りが勝手に騒いでいるだけ」と解釈することもできます。女性障害者の性に関しては、妊娠や出産の支援、性暴力被害の防止の方が、優先順位の高い問題だと考えます。

※坂爪真吾/著『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』より

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン