ライフ

ピル服用 卵巣がんリスク1/3に減り子宮体がんも減ると医師

 生理痛、更年期症状が軽くなるなどの効能があるピルだが、にきびなどの肌のトラブルが改善され、さらに美肌の効果も期待できるという。

 西国分寺レディースクリニック院長で『女性のためのピルの本』(幻冬舎)の著者・佐藤力さんは説明する。

「にきびは、男性ホルモンの働きによって皮脂腺が発達し、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まって出口がふさがってしまい、アクネ菌という菌が繁殖して炎症を起こすためにできるもの。女性のにきびはホルモンバランスが崩れ、男性ホルモンが優位になったときにできやすいといわれているので、ピルをのんでホルモンバランスが整うことでニキビができにくくなるんです。ピルに含まれるエストロゲンには皮脂腺が詰まるのを阻止する、直接的な作用もあります」

 また、エストロゲンにはコラーゲンを増やす働きもあるため、肌をみずみずしくし、潤いを保つうえでも有効なのだという。

 45才の主婦は次のように話す。

「生理痛を緩和したくてピルをのみ始めたのですが、長い間、悩まされていた乾燥肌まで治ってしまいました。婦人科の先生に“ピルの効用です”といわれ、びっくりしました」

 一方で、副作用がまったくないわけではない。吐き気や頭痛、乳房の張り、出血を伴ったり、なかにはだるさやむくみを感じる人もいる。しかし、佐藤さんはこういう。

「これらの副作用のほとんどは一般にマイナートラブルと呼ばれるもので、多くの場合、ピルをのみ始めて3か月以内におさまります。これらの副作用以上に副効用のほうがはるかに大きいといえます」

 それ以外に、血液が固まりやすくなって血管がつまる血栓症や心筋梗塞、脳卒中などを発症するリスクが少し高くなることが指摘されているため、35才以上で1日15本以上タバコを吸う人はNGとされている。

「がんになる」と誤解する人も多いが、実は逆だというのは、日本産科婦人科学会前理事長で慶応大学大学院医学研究科産婦人科学教授の吉村泰典さんだ。

「ピルを服用することで卵巣がんのリスクは3分の1ほどに減り、子宮体がんも減る。乳がんは若干増えるので、検診を受ける必要があります。全体的に見れば、ピルをのむことでがんのリスクは下がるといえます」

 卵巣がんは繰り返し起こる排卵によって卵巣の壁が傷つくことが原因のひとつといわれているが、ピルはこの卵巣への負担を減らすため、がんの予防になると考えられている。子宮体がんは子宮内膜の細胞にできるが、ピルをのむと子宮内膜が厚くならないため、予防につながるのだ。

 多くの女性が心配するような副作用は、実際にはないに等しいといえそうだ。

※女性セブン2012年7月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン