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大阪・十三東口で心地よい立ち飲み うまいアテに謎解きの肴

30歳まで電器メーカーで働いていた店主の中島さん

 何度か通ううちに、いくつかの謎が解け、やがて常連になっていく。それが、歓楽街・十三にあって、サラリーマンに慕われる立ち飲みの店として知られる『くれは中島酒店』の味わい方らしい。

 そこで早速、楽しげに飲んでいる客のみなさんに、通い始めたころに感じた謎のいくつかをあげてもらった。ほろ酔いの勢いで、答えまで言いたそうな顔が並ぶが、そこはそれ、当然のマナーとして、主人の中島嘉彦さん(56)に謎解きをお願いする。

 謎その1は、屋号となっている、くれは。
「昭和31年に父方の祖母が始めた店でしてね。出身が池田市で、そこに日本に機織の技術を伝えたとされる神様を祀った有名な呉服(くれは)神社があるんです。本家の酒屋もそこにあったんで、屋号につけたんだと聞いてます」

 謎その2。店の間口は不思議なほどに広く、その左右の端に入り口がある。これに連動するのが謎その3。カウンター及び床は、中央あたりに2段ほどの段差があり店内右側半分が低くなっている。

「実は、もともとは左半分が私どもの店で、右半分はバーだったんです。昭和30年代の終わりごろにそこがなくなったもんで、壁をぶち抜いてつなげたんですが、段差ができてしまったというわけです。危ないとかの苦情が出るかと心配したんですが、段差の部分の上段や下段が好きだといってそこを指定席にするお客さんもいるほどでして」

 謎その4。鉄柱が1本、客の邪魔をするように店内空間に立っている。
「花博(EXPO ’90)のときに、規制があって、店外の自販機を全部店内に入れなならんことになりましてね。鉄柱7本を立てて収納したんですが、バランス上どうしても1本だけ店の中に立てざるをえなかった。邪魔や言われると覚悟してたら、寄りかかって飲むと心地いいとかで、評判よろしいんです。鉄柱7本のおかげで、神戸の震災時も被害は4合びん1本で済みましたし」

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