芸能

世界一日本人ゲーマー いじめ問題は「開き直るチャンス」

世界一ゲーマー梅原大吾さんがいじめ問題に提言

 ゲーム界では14才で日本一、17才で世界一となり、日本人で初めて“プロ・ゲーマー”となったプロ格闘ゲーマーの梅原大吾さん(31才)。強い意志力で粘り強く努力し、ゲーム界のトップを走り続けている彼に、孤独に闘い続ける秘訣、子供時代の実体験から語るいじめ問題について聞いた。

――孤独にどこまでも努力を続けられるのはどうしてでしょうか?
梅原:自分があんまり好きじゃない人と関わらなくていい強さを維持するために、頑張っていると自分では思ってます。

 例えば、学校で自分が不良だとします。でも、同じ学校の他の不良がやってることは好きじゃない。どうすれば嫌な思いをせずに学校生活を送れるかといったら、いちばんケンカに強くなることだと思うんです。いちばん強ければ、自分が気に食わないやつらと関わる必要もないんですよ。自分は人に合わせて何かをすることが苦手だからこそ、目標に向かって頑張り続けることがいちばんの対策だった。それが原動力になっていたと思いますね。

――著書には子供時代に孤立したことも書いていましたね。
梅原:子供のときのクラスの友達づきあいっていうのは、お互いを監視し合うというか、空気の読み合いみたいことがあって、みんな本音でしゃべれない。それが嫌でも、学校での立場を失いたくないから、みんなその関係を変えられない。自分はたまたま生まれつき力が強かったので、わりと有利な立場でしたけど、それでもやっぱりその空気にある程度影響を受けてしまって、「ここは周りに合わせなきゃいけないな」という場面が常にあったんです。

 それが窮屈で、“周りに合わせるのをやめよう”ってゲームに没頭し始めたら案の定、クラスのみんなが自分と距離を置き始めたんです。当時は強がってましたけど、やっぱりそれはトラウマですね。それでも、あのとき孤立してよかったなっていまでも思います。そんなつき合いをさせられるぐらいなら、多少つらくても自分のやりたいことをしたほうがいいなと思いますね。

――いまは、いじめが問題になってますが、どのように考えますか?
梅原:自分が子供のころに感じてたよりも、いまの学校生活はもっと窮屈になっていますよね。小学校とか中学校のころからネット上にクラスの掲示版とかがあって、顔が見えなくても攻撃されてしまうなんて状況もある。実際にいじめられている側のストレスっていうのはすごいと思います。ぼくは専門家でも何でもないので、実体験からいうことしかできませんが、だからこそチャンスなのかなって思うんですよね。それを気にして生きてたら、人生がもう無茶苦茶じゃないですか。何も楽しくない、何のために生きてるんだということになるので、気にしてもしょうがないってことを子供のころに学ぶチャンス、開き直るチャンスなんじゃないかと考えました。

 大事なのは、苦痛をじわじわと感じ続けるよりは、一瞬ものすごい苦痛かもしれないけど、何かその状況を変えるような行動を起こすことですよね。それは実際難しいし、そういうことができないぐらい心を削られていくんでしょうけど、どこかでいじめをやめさせるような行動を起こさなきゃいけない、一度でも相手をヒヤッとさせなきゃいけないときがあると思うんです。

――今後ずっとゲーマーを続けていきたいですか?
梅原:できる限り“あのオッサンいつまでも頑張ってるな”みたいな感じで見られたいですね。みっともないって思う人もいるかもしれないですけど、“とっとと開発とかにいけばいいのに、いつまでもやってるな”ってちょっと小馬鹿にされてるぐらいのほうが自分には合ってると思うんで、なるべくギリギリまでやっていたいですね。

【梅原大吾(うめはら・だいご)】
1981年5月19日、青森県生まれ。日本人で初めて“プロ・ゲーマー”という職種を築いたプロ格闘ゲーマー。14才で日本一、17才にして世界一に。一時期、ゲームを辞めて飛び込んだ麻雀の世界でも3年間でトップレベルに。ゲーム界復帰後、2010年にアメリカの企業とプロ契約を結ぶ。同年“世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー”としてギネス認定。“背水の逆転劇”と呼ばれる試合の動画再生回数は、全世界で2000万回を超える。著書に『勝ち続ける意志力』(小学館)がある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン