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西成特区構想のシンポジウムで「意味ないやろ」とヤジ怒号飛ぶ

「質疑応答に入ります」――司会者が促すと、聴衆から一斉に手が上がった。

「あいりん地区の簡易宿舎をゲストハウスエリアとして国際観光の拠点にする? そんなトコに外人が来るかい!」

「人口が減少して保護費の出費が減っていくっていうのは、人(受給者)が死ぬのを待つわけかッ?」

 次々に飛び出す怒号混じりの質問に、壇上に並ぶ有識者たちは狼狽を隠せない。8月27日夜に大阪・西成区の区民センターで開かれた「西成特区構想を考えるシンポジウム」の様子だ。

「西成を変えることが大阪を変える第一歩」と掲げてきた橋下徹・大阪市長にとって、西成特区構想は大阪改革の“一丁目一番地”。その最初のステップとして、この日、市特別顧問の鈴木亘・学習院大学教授らが特区の方向性について説明し、その後に区民とのディスカッションが行なわれた。

「600人の会場定員に650人が詰めかけ、立ち見が出るほどでした」(西成区役所関係者)

 だが、市側と住民の温度差は、かなりあるように感じられた。鈴木教授が基調講演で、「小中一貫校の創設」「大学誘致」など文教地区への転換プランを語ったのだが、

「一貫校もええが、通学路問題はどうすんねん。小学校の校門の前で朝からエロ本が売られとるんやで。買いに来るおっさんと子供たちが一緒に歩いとるのを知ってまっか」

「大学誘致って、どこに呼ぶねん。(新今宮)駅の北側? あそこは西成やのうて浪速区やんけ」

 と、強烈なツッコミが。

 治安問題では、「警察は協力的。私も訪問していろいろと訊いてきた」と鈴木教授がいうと、初老の男性住民から「アンタのような偉い先生には紳士的やろが、ワシらにはボロクソや。通報しても何もしてくれん。自転車泥棒を捕まえるくらいしか能がないで」と一蹴。

 あらゆる提案に、「意味ないやろ」「西成がわかっとらん」とヤジが飛び交い、怒りの意見には「その通り」と拍手が沸く中で30分の質疑応答は途中打ち切りになった。

※週刊ポスト2012年9月14日号

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