国内

シャープ25歳茶髪正社員 「2丁目に行ってオカマになるべ」

 シャープの行方が注視されている。5000人のリストラ、台湾企業との出資交渉──、現場の若手社員の将来はどうなるのか? 作家の山藤章一郎氏が、シャープの工場がある栃木県矢板市を訪れた。

 * * *
〈ハローワーク〉の待ち合い椅子で、つま先を小刻みにゆかに打ちつづけて茶髪が漏らす。

「もうダメだよお。くさくさするさ。ぶん殴って辞めりゃよかった」

 高卒、25歳。シャープ正社員。

「子どもんときからの地元最有力企業だからよ。入ったときは誇らしかったさ。ライン作業で液晶テレビやってな。だけど、去年の夏、辞めちくりって。若っけえから、働くとこぐりゃあるべって。どうなっちまったんだと思ってたんさ。したら、会社全体で5000人のリストラっていうべ」

 月収19万円。退職金なし。失業保険10万円。栃木県矢板市。人口3万5000。宇都宮と仙台を結ぶ国道4号線沿いのシャープ工場に近いハローワーク。貧乏揺すりをやめない。

「もう、派遣も正社員も年寄りも新入社員も、みんな切っちめえって感じだったさ。会社って傾ぐときはあっという間だぁ。こん周りはよ、ここ10年、年寄りの世話、誰すんだ、東京の大学出たけど、就職がねえでけえってきた。そんな話ばっかだ。そこへシャープがリストラ。クビ。どうなるんだべな、オレら。

 こんな国道と田んぼしかねえとこで、踏ん張っててもしょうがねえぞ。やけくそだからよ、新宿2丁目でも行って、オカマになってやるべかって。テレビつくってるより、マツコ・デラックスのほうが、生きていかれるべ」

 茶髪は膝に求人情報ファイルを乗せている。ハウス野菜の収穫15万円。配管工17万2000円。精密機械の組み立て13万1000円。老人ホームで調理14万1000円。

――働く場所はいっぱいありそうですが。

「なにいってんだ。資格、雇用期間、年齢、縛りばっかだぞ。ちょっとでも時給がいいのは、先に決まっちまうし、よ。オレみたくお人よしは、田舎じゃ生きていけねえんだ、バカ野郎」

※週刊ポスト2012年9月21・28日号

トピックス

俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト