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不動産 消費増税前に「焦って買わないほうがいい」とFP助言

 2014年4月から8%に上がる消費税。早くも不動産業界などでは、「今が最後のチャンス」「早く買わないと間に合わない」といった煽り文句が聞かれるようになってきた。にわかの活況に沸く不動産業界だが、今買ったほうがお得なのだろうか。

 ファイナンシャルプランナーの藤川太さんに聞くと、

「あせって買うのはやめたほうがいいですよ」と言下に否定し、次のように語った。

「3年以内の購入を考えていて、すでに頭金が貯まっている人に対しては、消費税が上がらないうちに買うのをおすすめしますが、そうでない人は消費税が10%に上がる2016年以降まで待ったほうがいい。というのも、1997年の増税の時には、駆け込み需要の反動で、増税後に売れ行きが悪くなり、翌年からは住宅価格が下がり続けました。その結果、増税後に購入したほうが、増税分を合わせても安くなったのです」

 不動産情報会社、東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の中山登志朗さんが当時の市況を解説する。

「1997年前後の住宅価格の平均を振り返りますと、首都圏で1997年に3%上昇した後、1998年には5%下落し、近畿圏も同じく1.6%上昇後、1998年に3.1%下落しています。今回の増税は2段階に分けて引き上げられますので、駆け込み需要が長く続きます。地域によっては、2016年以降、反動による下落があるはずです」

 例えば、4000万円のマンションを買うとする。消費税は建物にのみかかり、土地にはかからない。2000万円が建物代だとすると、現在は4100万円。8%時には土地代込みの価格が4160万円に、10%時には4200万円と今よりも高くなる計算だ。

 しかし、1997年の増税時の値動きを当てはめると、消費税8%の時点でマンションの価格は3952万円に下落する計算。今すぐ4100万円で買うよりも、安くなるのだ。

 それは一戸建てでも同じ。住宅ジャーナリストの櫻井幸雄さんが次のように語る。

「建て売り住宅では、増税後に値下げをしてくる可能性が高いので待ったほうがいい。それに増税前に注文が殺到すると、業者の手抜き工事に遭ったり、現場の人手不足で引き渡しが遅くなることもあるので要注意です。ただし、すでに土地を持っていて、建物を建てるだけの人や、建て替え、水回りや内装のリフォームは増税前がお得です。バリアフリーについては実際に介護が必要になってから、必要な部分を改修したほうが無駄にならずに済みます」

 また、注意しておきたいのは、購入のタイミング。

「前回は増税の半年前、1996年9月までに契約をしておけば、引き渡しが増税後でも、引き上げ前の税率が適用されました。今回も同じ措置となる可能性が高いので、現行の税率が適用されるには増税の半年前、2013年9月までに契約を済ませる必要があります」(櫻井さん)

※女性セブン2012年10月18日号

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