国内

不況に強いプレミアム商品「元ブランドの強さ重要」との分析

スカートの水玉がよく似合う、カルピス 飲料事業部の山口さん

 消費の冷え込みや消費志向の多様化が進む状況にあっても、“プレミアム”や“限定”と銘打ったこだわり商品やサービスの販売が好調だ。

 プレーンクラッカーの定番ともなっている『プレミアムクラッカー』(ヤマザキナビスコ)、食品メニューから暮らしの品まで700アイテムを揃える『セブンプレミアム』(セブン-イレブン)、くつろぎのエコノミークラスを標榜する『JALプレミアムエコノミー』(日本航空)、限定アイテムも豊富な会員制ショッピングサイト『プレミアムバンダイ』など多岐にわたる。

「市場が成熟して需要が冷え込む中、商品やサービスが均一化するコモディティ化がますます進み、ディスカウントも限界となった企業の突破口のひとつが“プレミアム”商品やサービスです。消費行動には、“希少性の原理”があり、大衆的でないものに人は惹かれます。スーパーマーケットより、ハイパーマーケットのほうがよく思えるといったことです。

 限られた所得だが、ちょっと贅沢をしたい、周りと差別化したいという消費者心理を受け、“プレミアム”は今の時代にあった付加価値の提供だといえます。特に日本の消費者はこうしたアプローチに弱いので、企業が販売戦略に巧みに取り込み、成功を収めているといえるでしょう」と、語るのは慶応義塾大学名誉教授で日本マーケティング協会理事長の嶋口充輝氏。

 こうしたプレミアムトレンドが活況となる中、2007年の発売から好調な販売を続け、2012年10月にリニューアル発売した『ザ・プレミアム カルピス』の担当者に、商品誕生の背景などを聞いた。

「『カルピス』誕生90周年を記念して、長年培った乳酸菌技術を活かし、おいしさを追求した特別な『カルピス』を世に出そうと『ザ・プレミアム カルピス』が生まれました。おかげさまで発売以来、好評を博し、お客様から高い支持を受けるヒット商品となっています。それから5年、お客様の志向やニーズを反映して、今の時代に本当に求められるものを、と今回大幅なリニューアルを実施。

『濃厚で深い味わい』『爽やかな後味』『華やかな香り』という3つの要素にこだわり、大人世代にふさわしいプレミアムなおいしさを目指して開発しました。」と、カルピス 飲料事業部商品開発グループ・山口真代さんは開発ポイントを明かす。

「今回のリニューアルに際して調査を行ったところ、『カルピス』=甘酸っぱくて女性や子供の飲み物というイメージを覆して、『ザ・プレミアム カルピス』の購入者の過半数は男性だったんです。

 ちょっと疲れた体に甘いものがうれしいときってありますよね。『ザ・プレミアム カルピス』は、日々忙しくて、仕事への責任感からストレスも大きい、30代男性を中心に大きな支持をいただいてきました。今回のリニューアルは、そうしたお客様にさらに共感を持っていただける味わいや後味、香りに徹底的にこだわっています。ぜひ、疲れた仕事からの帰り道に『ザ・プレミアム カルピス』を買って、夜、リラックスして飲みながら、明日への活力にしてもらえると嬉しいです」(山口さん)

 同社の『カルピスウォーター』は500mlペットボトルで147円だが、『ザ・プレミアム カルピス』は350mlで158円(いずれも編集部調べ)である。子供の頃に家庭などで『カルピス』を飲み、学生時代は『カルピスウォーター』を飲んだけれど、最近は飲んでいないな……という男性層に、“大人の上質”を感じさせる『ザ・プレミアム カルピス』がフィットした流れのようだ。このように“プレミアム”商品が支持されるには、どういった条件が必要なのだろうか?

「例えば、日本航空の『JALプレミアムエコノミー』は従来のファースト、ビジネス、エコノミーというクラス分けを、付加価値サービスによってカテゴリーを新たに増やすことに成功しました。ただ、こうした“プレミアム”の前提となるのは、元となるブランドの歴史が長いなど消費者の認知度が高く、ブランドが良好なイメージを保持しているということ。それなくして、元となるブランドに対して、さらにちょっと上という位置づけはできないですからね」(前出・嶋口氏)

関連記事

トピックス

大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
裁判所に移されたボニー(時事通信フォト)
《裁判所で不敵な笑みを浮かべて…》性的コンテンツ撮影の疑いで拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26)が“国外追放”寸前の状態に
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
TikTokをはじめとしたSNSで生まれた「横揺れダンス」が流行中(TikTokより/右の写真はサンプルです)
「『外でやるな』と怒ったらマンションでドタバタ…」“横揺れダンス”ブームに小学校教員と保護者が本音《ピチピチパンツで飛び跳ねる》
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン