山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判。10月28日から始まった公判は12月4日の被告人質問で証拠調べが終わり、残るは求刑と最終陳述、そして年明けの判決のみとなった。
山上被告ら弁護側は法廷で「母親が旧統一教会にのめりこみ、多額の借金をして家庭が崩壊した」「教団とつながりがあると思った安倍氏を狙った」などと主張。一方、被告人質問では、実は被告人がもともと自民党や安倍氏を支持していたことも明かされた。
それなのになぜ、山上被告は安倍氏を銃撃するに至ったのか。問題を追い続けてきたジャーナリスト・作家の鈴木エイト氏がレポートする。(一部敬称略)【前後編の前編】
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12月4日の被告人質問で、弁護人からの質問に答える形で山上は次のように語った。
「2015年前後の時期、韓国への対応など、政治的に安倍総理(当時)を支持していた」
母親の1億円以上にのぼる統一教会への献金で経済的な逼迫を余儀なくされた山上家。山上は兄の自死に対する母親の対応を見て、統一教会を明確に恨むようになったという。統一教会の本部は韓国にある。山上は当時、安倍政権の韓国に対する厳しい対応を評価して、安倍氏を支持していたのだろう。
当時、安倍氏と統一教会のつながりに関する情報については、「見るようにはしていたが目を向けず深く考えないようにしていた」という。
そのつながりを深く考えざるを得なくなってしまったきっかけが、2021年、関連団体に安倍氏が寄せたビデオメッセージだったという。当時の感情の変化について、山上はこう説明した。
