山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判。10月28日から始まった公判は12月4日の被告人質問で証拠調べが終わり、残るは18日の最終陳述と求刑、そして年明けの判決のみとなった。
山上被告ら弁護側は法廷で「母親が旧統一教会にのめりこみ、多額の借金をして家庭が崩壊した」「教団とつながりがあると思った安倍氏を狙った」などと主張。一方、被告人質問では、実は被告人がもともと自民党や安倍氏を支持していたことも明かされた。
さらに事件直前に行なった期日前投票で、被告人は意外な人物に投票していたこともわかった——問題を追い続けてきたジャーナリスト・作家の鈴木エイト氏がレポートする。(一部敬称略)【前後編の後編。前編から読む】
2021年、統一教会の関連団体のビデオメッセージに出演する安倍氏を見て、「教団の中心人物に大きな打撃を与えること」を生きる目的としたという山上。そこから、対象を安倍氏にするまでにどのような変遷があったのか。被告人質問から、安倍氏に関する山上の答弁や回答内容を列記してみよう。
「怒りの対象は、安倍元総理ではなく統一教会」
「(安倍氏は)本来の敵ではない」
「安倍元総理は2021年の動画以降の経過のなかで、常に標的のひとりとまではいかないが、頭の片隅には常にあったので、韓国人の標的が来ないことから、安倍元総理への襲撃を考えた」
「考えられる標的の1人であった」
「飽くまで対象は統一教会。(安倍氏は)統一教会に参与している政治家の最も有名な人で、意味はないとは思わないが、本筋ではないなと思っていた」
