自分の名前をグーグルなどのインターネットサイトで検索して、自分に対する評判を確かめる行為を「エゴサーチ」と言う。広義には、自分の所属する会社、同僚や家族、友人の名前や、仕事上の取引相手など、自分に関係する人物を検索する行為までが含まれる。
クリック一つで評判が分かるのだから、便利といえば便利だ。だが同時に、ネット社会の陰惨な暗黒面を浮き彫りにするものでもある。以下、エゴサーチによって生じた事例を紹介しよう。
●49歳男性(メーカー)
「一度エゴサーチをした時、自分と、関わった仕事に対して悪い評判を立てられていることを知った。それから毎日、気づけばツイッターやグーグルを開いてエゴサーチしています。中でもツイッターは結果の反映が速いし、検索機能には自分の好きなフレーズを記憶させておけるから、名前や家族、会社名、仕事などについて呟かれていないか検索しやすい。誰かが自分に関する何かに悪口をいっていないか、1時間に一度は確認しないと落ち着かない」
こうなるともはや仕事も手につかないのでは……。ネット問題に詳しいインターネットユーザー協会の小寺信良代表理事が語る。
「ネットの書き込みネタは8割が愚痴や批判、悪口の類です。ユーザーはネットを欲求不満のはけ口にしているんです。そして多くの人間が困惑するのは、悪評や誹謗中傷を書いたのが誰か分からないからでしょう。
書かれる自分は実名だが、書いた人間は匿名ということに悶々としてしまう。それを見て自分を直そうとする向上心のある人ならいいが、大半はそうではなく、書かれたことを気にして、ずっと検索し続けてしまうのです。いいことは期待できないのですから、ネットで自分を検索することはやめたほうがいいと思いますね」
※週刊ポスト2012年10月26日号